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山本太郎氏インタビュー~「今年、廃炉が決まらないなら僕は日本を出る」(前)
脱原発・新エネルギー
2012年4月25日 15:30

 NHK大河ドラマ『新選組!』や故・深作欣二監督『バトル・ロワイヤル』などで知られる、俳優の山本太郎氏。日本が誇る実力派俳優は、2011年4月9日にツイッターにおいて「黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、脱原発活動を開始した。その後、「迷惑はかけられない」と所属事務所を退社し、収入は10分の1になってしまったという同氏。彼をそこまでして突き動かしたものは何だったのか。現在進行形で闘う俳優、山本太郎の「今」に迫った。

 東京都内某所。長身の男性がホテルのロビーに入ってきた。ヘルメットを片手にスタスタとこちらに歩いてくる。山本太郎氏だ。舞台の稽古を終え、待ち合わせ場所に姿を表した彼から、どのような話が聞けるのか、そう考えると私は待ちきれない気持ちになった。メディアというフィルターを通さない山本太郎という1人の人間と向き合ったとき、彼の本質に触れることができた。(聞き手・文・構成:清水 秀生)

 ――3.11から1年が経ち、日本各地で原発撤廃を訴えたデモが多く開かれるようになりました。山本さんはドイツでもデモに参加されたそうですが、日本と海外で違いはありましたか。

 山本太郎氏(以下、山本) 僕が参加したドイツのデモは「祭り」でした。ドイツでは、市民運動っていうのは、祭りになっていて、原発に対する思いは二の次にしたとしても、人々が集まりたい場所になっています。それにより、無関心だった人も足を運びたくなるというわけです。みんなが集まれるイベント―つまり祭りだと言えます。

 ――日本ではデモというと、物騒なイメージが定着している気がします。

0425_yamamototarou.jpg 山本 日本では、市民運動が広がらないように圧力がかかっています。マスコミは、デモを扱うときに、かつての学生運動の映像をふんだんに使っています。それで、みんなの意識のなかに物騒なイメージが刷り込まれてしまうのではないかと思います。実際、僕自身もデモというものは、危険なものだという認識がありました。しかし、実際はそうではありません。デモをする――つまり市民運動を起こすというのは、国民に保証された権利なのです。

 しかし、日本では、デモをするためには、わざわざ警察まで行って、届出を出す必要がありますし、本来あるべき姿とは、だいぶ違うと思います。さらに言えば、少しゆっくり歩いただけで逮捕したり、3列が4列になっただけで逮捕したりする場合があります。しかも、逮捕したからといって、その後に何かがあるわけではなく、すぐに釈放するわけです。逮捕するための逮捕。そして、逮捕した人を実名で報道する場合もあるのです。これは、間違いなく市民運動への弾圧であると思います。こうして、デモに参加しようと思っている人の心を挫いているのです。

 ――原発事故に関しては、メディアの在り方が問われています。

 山本 テレビは商業放送ですから、スポンサーありきです。しかし、だからと言ってお金と引き換えに魂まで売っていいのでしょうか。今回の事故で、命に関わるような重大なことでも、お金が貰えるなら魂を売ってしまうということがハッキリしたと思います。

 報道というのは、これまでのイメージでは戦場でも駆けつけるような気概がある、骨のある、そういう反骨精神のある部署だと思っていたのですが、そうではなかったのです。人の命がかかっていてもスポンサーの"空気"を読み、台本通りに放送するというところだった。"見損なった"という気持ちです。

 ――"正義感のある報道マンがいなかった"ということですか。

 山本 もちろん、現場としては、もっとやりたいことがあったと思うのですが、そういう想いは、いろいろなしがらみによって封殺されたのでは、と思います。本当に伝えたかったことを伝えたいのに、邪魔が入った。

 原発というのは、電力会社だけの問題ではありません。たとえば、電機メーカーとか、建設とか、保険とか、放送局も多岐にわたる企業と関わっているので、「原発=電力会社」っていう単純な図式ではなくなっているのです。つまり、脱原発をテレビなどで訴える場合、電力会社だけのお金を諦めればいいのかというと、そういうわけではない。あまりにも根が深い問題です。

 しかし、そうは言っても命に関わる問題です。メディアがもっとしっかりしていれば、被曝しなくて済む人まで被曝せずに済んだはずですし、それを阻止できなかった罪があると思います。

(つづく)

| (中) ≫

<プロフィール>
山本 太郎 (やまもと・たろう)
1974年11月24日、兵庫県宝塚市生まれ。
職業・俳優。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。91年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。その後、テレビドラマ『ふたりっ子』(96年)、『新選組!』(04年)。映画『バトルロワイアル』(2000年)、『GO』(01年)など数々のヒットドラマ、映画に出演。また、俳優の仕事以外に『世界ウルルン滞在記』などで、肉体を使った体当たりレポートでも人気を博す。『光の雨』、『GO』で01年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で03年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。11年4月、脱原発活動を宣言し、活動家へ。



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