福島の米は全国で販売されてきた。とくに沖縄では学校給食に到るまで、多くの福島の米が使われていた。それが原発事故という悪夢のような出来事のために、今も沖縄での販売は、再開のめどすら立っていない状況なのだ。これまでの多くの顧客から言い分を聞いてもらうこともままならない状況で、ただただ断られ続ける心労たるや、いかばかりのものだろうか。原発事故による放射線の影響が心配なのはわかる。それが目に見えないために消費者が「疑わしきは近寄らず」という態度をとることもわかる。だが、たとえば福島の近県である茨城、千葉などの米は堂々と売られている。本当は、いずれの県のものも安全なものしか売られていないのだが、福島だけはどれだけ安全性を証明する努力をしても消費者の理解が得られないのだ。風評被害、恐るべし、である。危険があるものだけでなく、危険性が疑われるものも、なんとなく危険な感じがするものも、消費者は受け入れないということだ。
JA全農福島担当部長の取材のなかで、意外な名前が登場したことに驚いた。
「こんな状況のなかでも、福岡のエフコープさんは、継続して米を取り扱ってくれました。大変感謝しています」
危険か否か、ほしいか否かは消費者の判断である。危険がないと判断している消費者もいるだろうし、福島を応援したいと思っている方もいることだろう。そういう方々に購買の機会だけでも与えることは、選択肢を供すると言う意味でいいことではなかろうか。
エフコープ広報によると
「福島のお米は昨年度初回取り扱い前にゲルマニウム半導体検出器をつかって放射線検査を行なっており、以来、毎月モニタリング検査を実施しています。その結果、今のところ基準を超えるレベルの残留放射能は検出されておりません。組合員から『残留放射能が不安』という声をいただくこともありますが、検査結果を店頭のポスター、ホームページ、機関誌で公表して正しい消費行動ができるように努めています」
との回答を得た。まことにあっぱれな行動である。
こういった、風評被害は、具体的に見えにくく、いつまで続くのかもわからない点が、生産者、販売者、居住者の不安をあおり続ける。これは、たまたま福島第一原発での事故であるから福島が被害を受けることになったのだが、玄海原発ならば、玄界灘臨海部全域と佐賀県全域、規模によっては北部九州全域が風評害を受けることになるかも知れない。言うならば、原発を稼働させるということは、これらの危険をカバーできる自信がなくてはいけないということなのではないか。
経済的実害+風評による経済的実害+将来の不安の払しょく+地域除染+健康診断+健康被害の回復+土地の除染+地域イメージの回復などなど、すべてを政府による支援なしに電力会社が補償できるのならば、原発の稼働に何ら反対するものではない。問題は、それができないことがはっきりわかってきたことにある。福島の事故は原発による被害の大きさと、それに対する電力会社の賠償能力の低さを教えてくれた。この教訓をどう生かすか、そしてどう未来につなげるかが大切なのではないか。
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