6月4日の朝、脱原発を訴える「原発とめよう!九電本店前ひろば」の青柳行信さんは、いつものように九州電力(以下、九電)前に抗議のテントを設営しようとしていた。するとそこに、政治団体の構成員2名と警察や公安、市の職員など合わせて約40名がやってきた。
政治団体のメンバーは約1時間に渡って、九州電力とテントの間で街宣を行なったという。その後、市の職員が青柳さんに「街路樹やポールなどに横断幕などを巻きつけないこと」「帰宅時に資材を置いて帰らないこと」などを指導して帰っていった。
テントと聞くと、24時間体制で設営されているようなイメージを抱くが、実際には毎日撤収と設営を繰り返している。当初は24時間体制だったそうだが、市や警察の指導もあり、道路使用許可を取り、それに従うことにしたからだ。
翌5日、青柳さんは仲間たちと福岡市の道路下水道局管理部を訪ねた。道路使用許可申請書によると、本来は3つのテントの設営と、自転車置き場の前に印刷物等配布場所として長いテーブル、そして車を置くことを許可されている。しかし、これでは自転車置き場を利用する人や通行人の妨げになる恐れがあると配慮して、2つのテントのみで運営している。青柳さんは「いまの九電本店前ひろばは、市側とのこれまでの話し合いのなかでお互いが譲歩してきた結果の状態なのです」と話す。
市の言い分としては、「道路を管理するのは警察だが、街路樹やポールなどは市の管理物であり、それらを使用する許可は出していない。また、資材を置いて帰るのは困る」ということだが、運営するうえで、毎日すべての道具を持ち帰るのは困難なのが実情であるし、本来の使用許可よりもかなり配慮しているのだから、街路樹などに巻きつけている分は大目に見て欲しいと言うのが青柳さんたちの言い分なのである。
青柳さんは「確かにこれまで何度か指導があったが、その都度話し合って対処してきたつもり。今後もこちらは市や警察とコミュニケーションを取って健全にひろばを運営していきたいと思っている」と話した。
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