※本章はフィクションです。事故が起こった場合の、数多くの可能性の中のひとつを示すものに過ぎません。あしからずご了承くださいませ。
「我々は偉大なる指導者の威を世界に知らしめんと、先進技術の粋を集めた人工衛星を打ち上げる。20XX年12月25日から1月15日の間の天候のよい日に実行する予定だ。ブースターは大半が大気圏で燃え尽きようが、一部、南シナ海に没することが予測される。この成功によって、我々D国も先進諸国に名を連ねることになろう。」
20XX年12月1日、再三にわたる国連勧告を無視する形で独裁国家D国が人工衛星の打ち上げを発表した。数十年にわたり、近隣諸国と領土問題を繰り広げてきた。およそ50年前、超大国のエゴによって1つの国が分断され2つの国が生まれ、それぞれの敵対する超大国が後押しする形で戦争が起こった。10年間の泥仕合を経て、休戦協定が結ばれ、にらみ合いが続いて現在に至っている。その当事国のひとつであるD国が突如、人工衛星打ち上げを発表したのだ。世界は当然人工衛星打ち上げとは受け取らず、事実上の弾道ミサイル実験と認識した。同国一流の恐喝外交の一環に違いないと踏んだのである。
それを受けて、D国近隣の日本、韓国、および同盟関係にある米国が即座に反応を示す。日本は沖縄にPAC3を、日本海にイージス艦を配備した。韓国、米国もできうる限りの備えをしていた。東アジアが一気に緊迫した状態に陥ることとなった。
国際的な非難にさらされることとなったD国ではあるが、それでも理はあった。宇宙開発はそれぞれの国の権利であるから、それを妨げられる言われはない、と言うのである。これはもっともなことではある。したがって、近隣各国はそれぞれ備えをするに留め、万が一の事態が襲えばそれに対応し国民の生命、財産を守り切った上で、できればD国のミサイル技術の高低を見極めようとしていたのである。
せいぜいミサイル技術のパフォーマンスだろうと踏んでいた各国首脳は、D国の覚悟の度合いを見誤っていたのである。ミサイル実験は単なる陽動で、実はその裏により大きな破壊活動が計画されていたのだ。
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