飯塚市(旧筑穂町)の産廃処分場(安定型)の違法廃棄物をめぐって福岡県に措置命令を義務付けた福岡高裁判決が確定したのを受けて、福岡県が「生活環境保全上の支障の状況」などを調査検討するために設置した調査専門委員会(委員長・花嶋正孝福岡大名誉教授)が7月27日、初会合を開いた。同日、義務付け訴訟原告団(梶原啓行代表)らは、原告や住民団体と協議せず、一方的に同委員会を設置し委員を選任したことについて、県に対し強く抗議した。
調査専門委員会は、(1)処分場の調査の内容・方法の検討、(2)「支障のおそれ」の特定、(3)「支障のおそれを除去するための改善方策」などを調査検討する。
福岡県は、同産廃処分場を運営する(株)藤宏産業に対し、「生活環境の保全上の支障の除去等」の措置命令を命じることが義務付けられている。原告側は、措置命令の具体的な内容として「廃棄物の全量撤去」だとしており、7月20日付内容証明郵便の催告書で、7月末日までに廃棄物の全量撤去の措置命令を出すように小川洋福岡県知事に対し義務の履行を求めている。
第一回会合では、処分場内をボーリングしての水質調査と廃棄物調査、周辺のモニタリング調査(井戸10カ所、河川1カ所。毎月1回)を行なうことを確認した。
具体的には、処分場内の水質については、地下水、表流水、浸透水(控訴審での鑑定調査2地点の再試験を含む)を調査する。その際、地下水や浸透水については、悪臭・汚水発生以来住民側が求めてきた浸透水基準を採用する。違法埋め立ての事実確認のため、7カ所をボーリングし、廃棄物調査を行なうというもの。
会合では、調査内容の審議に入る前に、原告側が発言し、「福岡高裁での鑑定調査では含有試験を行なっている。安定型処分場は『だだもれ』なので、溶出試験で簡単に済ますべきではない」(紫藤拓也弁護士)と指摘したが、分析方法について、同日は議論されなかった。
調査専門委員会は、調査結果が出た9月か10月に次回会合を開く予定。同日の会合は公開され、原告らの傍聴も人数を限って(7人)認められたが、福岡県によると「次回以降行政処分に関する協議が含まれるので非公開」という。
専門委員会を設置した理由について、江口勝環境部長はこの日の会合で、「支障の除去などの内容については判決で具体的に示されていないので、処分場の状況を調査し、支障の範囲・内容を確認をする必要や、支障の除去方法を検討する必要がある」と述べた。
委員は、花嶋委員長と、伊藤洋・北九州市立大教授、島岡隆行・九州大教授、島田允堯・九州大名誉教授、谷口初美・産業医科大教授の5人。
原告団らは、原告、原告代理人弁護士、原告推薦専門家らの追加選任などを求めている。
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