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飯塚産廃 どうなる措置命令(3)~手を打たなかった福岡県
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2012年8月 4日 07:00

 飯塚市(旧筑穂町)の産廃処分場から汚水流出・悪臭発生が発覚した11年前の当初から、福岡県が住民の言うことを聞いて廃棄物行政を進めていれば、早い段階で違法産廃を除去させることができたはずだ。ここまで問題は長引かず、今ごろは住民に平穏で安心に暮らせる生活が戻っていただろう。

<県が"合法的"に脱法・違法を許してきた>
 悪臭や汚水流出が発覚した2001年8月は、同処分場の対象廃棄物がガレキのみの1品目から5品目すべてに変更が許可されて1カ月も経たない時期だった。
 住民は安定5品目以外の廃棄物が捨てられているのを目撃し、福岡県も掘削調査で許可品目以外の埋め立てを確認した。
 当時、筑紫野市山神ダム上流域にある(株)産興の産廃処分場で硫化水素ガスにより3人の死者を出し、同処分場搬入停止などの行政処分を受けた直後で、住民らは関連を指摘していた。「筑紫野の産興の処分場に捨てられなくなったごみが持ち込まれているのではないか」「福岡県は、廃棄物処理を優先して違法業者への処分が手ぬるいのではないか」と疑ったのである。

 福岡県は、許可品目以外の廃棄物の撤去を求める改善命令を出したが、「改善命令は履行された」として操業を許してきたのだから、住民の懸念は当たったといえる。
 違法状態に対し規制権限を適時・適切に行使しなかった結果、処分場から硫化水素の発生や、地下水から鉛などの有害物質の検出など、「安定型」の処分場では考えられない深刻な事態に発展した。

 福岡県議会で、飯塚市の産廃処分場問題を取り上げてきた原中誠志県議(福岡市中央区、民主・県政クラブ県議団)は、「福岡県が"合法的"に脱法・違法な操業を許してきた結果だ。法に則って、安定5品目だけ捨てられていれば、ガスや汚水流出が起きるわけがない。福岡県には、きちっと監視しなかった責任、見過ごしてきた責任がある」と指摘する。

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<違法産廃、業者廃業 被害救済に画期的な判決>
 全国各地でこれまでに、産廃業者が倒産・廃業したため、不法廃棄物が放置されたケースが繰り返されてきた。業者の"逃げ得"を許して、被害にあうのは住民だ。
 また、県が行政代執行を行なえば、その費用が県民の税金で支出され、業者から徴収することもできず、県民の負担となる。行政処分を手控えたツケを、県民の負担で尻拭いさせられたのではたまったものではない。

 だからこそ、廃棄物処理法は、生活環境を保全するため、「その支障の除去または発生の防止のために必要な措置」(支障の除去など)を命じる権限を都道府県知事に与えており、2審・福岡高裁判決は、その権限は「周辺住民の生命、健康の保護をその主要な目的の1つとして、適時にかつ適切に行使されるべきだ」と判示している。

 飯塚市の産廃処分場問題で住民側が勝訴した福岡高裁判決は、廃棄物処理法の趣旨を踏まえて、行政にどこまで義務があるかという点で厳格に判断したといえる。

 産廃処分場問題で措置命令の義務付けを認めた判決は、「非申請型義務付け訴訟」では、福岡高裁判決が全国初だと思われる。「非申請型」というのは、義務付け訴訟のうち、行政が一定の処分をするべきなのに、しないときに、行政に対し処分を命じるように求めたものである。

 どんな違法・有害廃棄物であっても業者が倒産廃業してしまえば、有害廃棄物はそのまま放置され、住民の安全は置き去りになる。福岡高裁判決は、そんな行政の不作為(やるべきことをやらないこと)を許さない判断を示した。
 違法廃棄物撤去を求める住民にとって、全国で例を見ない画期的な意義を持つ。

(つづく)
【山本 弘之】

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