2024年04月19日( 金 )

海外でも活躍する日本庭園づくりの匠(前)

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(株)別府梢風園

日本庭園づくりの伝統を継承

teien2 福岡市東区青葉に本社を構える(株)別府梢風園は、昨年創業50周年を、今年は設立40周年を迎える福岡を代表する老舗の造園工事業者である。同社は個人向けのものから企業・公共事業と幅広く手がけており、得意とする日本庭園の施工においては、国内外で数々の実績を残してきている。

 同社は、日本庭園の真髄は「意匠」にあるのではなく、そのなかに隠された日本人の独特な「思想」にあると考えている。そして、その文化的芸術性を認識し、将来に継承するという使命感と役割を意識しながら、庭づくりを通じて社会のために寄与したいと日々の業務に取り組んでいる。

 「日本庭園というものは、仏教の伝来とともに日本に渡来し、平安時代に定着した、言わば日本独特の文化です。1,100年以上の歴史があり、茶道や華道と同じく、日本の文化を象徴するものの1つとなっています。それは、これからもきちんと継承していかなければなりません」と、同社代表取締役社長の別府壽信氏。

 だが、時代の移り変わりとともに、庭園のあり方も変わってくる。かつてのような日本家屋が次第に減少していくとともに、洋風の住宅やマンションなどが増加。それに合わせて、庭園スペースも限られることが増えてきた。そうしたなか、同社でも新たな庭園のあり方を模索。限られたスペースやモダンな空間のなかでも、いかに日本庭園の精神を取り入れ踏襲したものをつくるかに注力を重ねてきた。

 一口に日本庭園と言っても、形式や様式によって異なり、その規模もさまざま。たとえば、官公庁工事の日本庭園、茶室などの企画・設計・施工においては、形式や様式美を重視した庭づくりが要求される。一方で、個人宅の露地や坪庭などの場合は、添景物などを取り入れ、形式や様式に縛られるのではなく、「趣のある庭づくり」が優先されることが多い。同社では、あらゆる庭園の企画・設計において、自然条件などを考慮したうえで、専任のスタッフによる現地調査を行い、顧客の要望と『洗練されたものづくり』のために、専門的な立場から積極的にアドバイスを行うなどしている。また、熟練した技術者や技能士を多数そろえ、庭園づくりを「作品」として捉えるために、技術の研鑽や習得に励むほか、灯籠や創作物についても、顧客に満足いただける、国内の伝統工芸士の名工品を多数取りそろえている。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:別府 壽信
所在地:福岡市東区青葉1-6-53
設 立:1976年6月
資本金:8,500万円
TEL:092-691-0678
URL:http://www.shoufuen.co.jp

<プロフィール>
beppu別府 壽信
1955年、福岡県生まれ。西日本短期大学造園学科卒業後、76年に(株)別府梢風園に入社。85年に同社代表取締役社長に就任した。(一社)福岡市造園建設業協会の会長も務める。趣味は、読書、ゴルフ。

 

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