2024年04月17日( 水 )

「建築確認で設計の欠陥見逃した」と久留米市を訴え~福岡地裁で第1回弁論

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

saiban1 鹿島建設が久留米市で施工したマンションの住民らが、建築確認をした久留米市を相手取り、設計図面や構造計算書の欠陥や地盤種別の偽装などを見落とし、耐震強度が基準の35%以下の違法建築物に建築確認済み証を交付したとして、約9億5,800万円の損害賠償を求めた裁判が4月28日、福岡地裁で始まった。

 訴えているのは、新生マンション花畑西(1996年1月竣工の鉄骨鉄筋コンクリート造、地上15階建、92戸)の55世帯の住民ら62人。この日開かれた第1回口頭弁論で、久留米市は「地盤種別が偽装されていることにより保有水平耐力が著しく不足していることは認められない」などとして、請求棄却を求めた。

 同マンションの欠陥をめぐっては、耐震性が著しく不足していて危険だとして、建築基準法9条に基づく建て替え命令を出すように、マンション管理組合が久留米市に求める行政訴訟も福岡地裁で審理されている。また、元請施工会社の鹿島建設、設計・監理した木村建築研究所を相手取って、損害賠償を求めた訴訟が福岡地裁久留米支部で審理中。

 法廷には、30人以上の原告らが傍聴に詰めかけた。熊本地震の直後だけに、不安な表情で審理を見守った。弁論後、「安心して住めない。このままなら、すぐにでも引っ越したい」「安心できる生活を返してほしい」などと語っていた。

【山本 弘之】

 

関連記事