2024年04月24日( 水 )

参院選で安倍政権与党は想定外敗北を喫する

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、7月10日の参議院議員通常選挙を前にして、選挙の投票率が上昇する場合、安倍政治を否定する投票が、安倍政治を肯定する投票を大幅に上回る可能性が高いのではないかとした、6月4日付の記事を紹介する。


 7月10日の参議院議員通常選挙まで1カ月余りである。うかうかしていると、あっという間に過ぎてしまう時間だ。

 今回の参議院選挙は「安倍政治の是非」を問う選挙である。「安倍政治の是非」を問う際に、安倍政治の何を問うのかをはっきりさせる必要がある。二つある。一つは、安倍政治の政策の内容である。いま一つは、安倍政治の政治姿勢である。

 安倍首相は6月1日の記者会見で、「アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが来る参議院選挙の最大の争点であります」と述べたが、そもそも「アベノミクス」はすでに完全に破たんしており、加速も逆戻りもない。マスメディアは安倍政権の策略の広報部門として情報操作にまい進すると考えられるが、主権者はこの情報操作に誘導されないようにしなければならない。

 何よりも大事なことは主要政策の公約である。原発をどうするか。戦争法・集団的自衛権をどうするか。TPPに参加するのか。辺野古に米軍基地を作るのか。格差拡大を推進するのか。やはり、この5つの問題が中心になる。

 安倍政治に賛同するということは、原発を推進し、戦争法を肯定し、集団的自衛権の行使を容認する。TPP参加に賛同する。辺野古米軍基地建設を推進する。格差拡大を推進する。ということになる。

 このように考える主権者は安倍政権与党を支援するべきだ。
 逆に、これらの政策方針に反対する主権者は、安倍政権に対峙する政党、候補者を支援するべきである。

 投票率が5割の場合、両陣営の支持者はほぼ互角であると考えられる。

 安倍政権与党を支持する主権者が主権者全体の約4分の1存在すると見られる。一方、安倍政権の政策に反対し、かつ選挙に確実に足を運ぶ主権者が主権者全体の4分の1存在すると見られる。

 日本の未来、私たちの未来を左右する重要問題である。主権者全員が投票所に足を運び、政策を選択するべきである。主権者が日本の基本政策を選択する。これが選挙の第一のテーマだ。

 もうひとつ、主権者が判断するべきことは、安倍政権の政治姿勢の是非だ。
 安倍首相は「消費税再増税の再延期はしないとはっきりと断言する」と明言した消費税再増税を再延期することを表明した。しかし、主権者に率直に謝罪することはなかった。TPPについても、TPP断固反対!と大書きしたポスターを張り巡らせて選挙を戦っておきながら、わずか3カ月後にTPP交渉への参加を決めた。国会でTPP交渉過程について問われても、「海苔弁当」と呼ばれる黒塗りの資料しか出さない。それなのに、委員会の委員長は交渉過程の詳細を記した文書を著書として出版しようとしていた。
 沖縄で卑劣な凶悪事件が発生したタイミングでオバマ大統領が来日したのに、安倍首相は日米地位協定の改定を要求することすらしなかった。
 そして、もちろん、安倍政権の経済政策に対する公正な評価も必要になる。

 選挙の投票率が上昇する場合、安倍政治を否定する投票が、安倍政治を肯定する投票を大幅に上回る可能性が高いのではないか。主権者が参政権を放棄することなく、確実に投票所に足を運べば、いまの安倍政治を変える、たしかな結果を生み出すことができるはずである。主権者に選挙の争点を分かりやすく示し、主権者が確実に参政権を行使することを強く呼びかけることが大事だと思う。

※続きは6月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1452号「参院選を日本政治転換の分水嶺にする」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

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