2024年04月19日( 金 )

異色の金融再編、山口FG設立の影にいる90歳相談役(1)

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 人口減少・高齢化による市場縮小を背景に統合が進む地方銀行。そのなかでも北九州銀行を傘下に持つ山口FGは設立の背景が異色。OBによると、「山口銀行で2004年5月に起きたお家騒動が発端」という。その騒動の影に潜む90歳の現役相談役の正体を追った。

社宅・送迎車・個室などのVIP待遇

car 90歳となった今も、山口FGに絶大な影響力を持っていると言われる田中耕三相談役。田中氏は、1992年から5期10年山口銀行の頭取を務めた後、退任して相談役に就任。現在も毎日、四半世紀以上にわたって居住する同行の立派な社宅から、運転手付の車で迎えられて同行本店に出勤している。

 山口銀行OB(以下、OB)は、「山口銀行本店では、専務以下は大部屋で個室があるのは相談役と頭取だけ」「相談役に就いた時の月収は200万円で、頭取よりも20万ほど安いだけで、取締役の約2倍近くだった。翌年中国財務局から『専務や常務よりも相談役の方が高いのは如何なものか』との指摘を受けて半減し月収100万円とした」「社宅、送迎車、個室だけではなく、秘書まで付いている」と田中氏の特権について話す。

 相談役が使用している個室は、もともとは同行の礎を築き、行員に結束力の大切さを伝える「百万一心」の言葉を遺した2代目頭取・布浦眞作氏の執務室。同行は布浦眞作頭取→伊村光頭取→田中耕三頭取と交代していくが、伊村光氏は畏れ多くて布浦前頭取(後に会長・相談役)の執務室は使用しなかったとさえ言われている。

 頭取でも取締役でもない相談役だが、さまざまな特権を見る限り、「影の支配者」という言葉が思い浮かぶ。「田中氏は今も山口FGのトップ人事にも影響力を持っている」というOBの話も納得できる。一体、田中氏は、いかにしてこの特別な地位を得たのか。複数のOBへの取材で見えてきたのは、組合対策で行内の人心を掌握し、強大な派閥を構築していったという出世物語だった。

(つづく)
【山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
(株)山口フィナンシャルグループ
代 表:福田 浩一
所在地:山口県下関市竹崎町4-2-36
設 立:2006年10月
資本金:500億円
経常収益:(16/3連結)1,655億400万円

 
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