2024年04月25日( 木 )

八幡西区役所跡地開発で地域活性化目指す(1)

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(株)サンキュードラッグ 代表取締役社長兼CEO 平野 健二 氏
大英産業(株) 代表取締役社長 大園 信 氏

 黒崎駅から徒歩15分、八幡西区筒井町に残された八幡西区役所跡地。黒崎商店街に近いこの地に残された約1万m2の土地の開発が2015年12月、決定した。開発を担当するのは大英産業(株)と(株)サンキュードラッグだ。建築・不動産のプロフェッショナルとドラッグストアという異色の組み合わせで勝ち取ったこの開発プロジェクトは、どのようにして生まれたのか。大英産業・大園信社長と、サンキュードラッグ平野健二社長に聞いた。

地域を見据えたプロジェクト

 ――本日はご多忙のなか、取材協力いただきありがとうございます。八幡西区役所跡地の開発を大英産業、サンキュードラッグが協力して行うことが決まりました。2社でタッグを組むきっかけについておうかがいします。

大英産業(株) 大園 信 代表取締役社長<

大英産業(株) 大園 信 代表取締役社長

 大園信(以下、大園) サンキュードラッグさんの活躍や、その企業理念にはかねてより深く興味を持っておりました。そんななか、金融機関の方が平野社長の講演会があると誘っていただきました。そもそも、ドラッグストアと不動産とは業種として相性が近いため、これから何らかの協力体制を築いていきたいと考えていたころのお誘いだったので、講演を楽しみにしていました。弊社専務の宮地が聴講し、感銘を受けて戻ってきまして(笑)。平野社長はすごい方だと。マーケティングしかり、地域のことしかり、北九州のこと、お住まいの方のことをしっかり見据えていらっしゃると言っていました。

 私どもはマンションの分譲を手がけています。マンションの分譲は、実はイメージ以上に地域密着に密着することができていないと従前から感じていました。1棟、新しくマンション建てると続けて同じ地域に、ということがないからです。最近は戸建てや不動産仲介にも力を入れているのですが、こういった事業は地域に目を向け続けなくてはいけません。そういった面で平野社長の考え方は見本だと報告で感じました。高齢化社会などを見据えたお話をビシビシされていたと聞いています。それがきっかけでサンキュードラッグさんと弊社で、何か一緒に事業ができないかと考えるようになりました。

(株)サンキュードラッグ 平野 健二 代表取締役社長兼CEO<

(株)サンキュードラッグ 平野 健二 代表取締役社長兼CEO

 平野健二(以下、平野) 弊社では、立地を4つの類型に分けています。ダウンタウン(都心部)、アーバン(都市部。都心をとりまく住宅密集地。メインの来店手段が徒歩自転車)、サバーブ(郊外。移動手段が車。土地があいているところ)、ルーラル(田舎、都市と関係がない)。うちはアーバンを中心に出店していこう、と考えました。

 高齢化が進むから、どんどん人は都市部に集まってくるだろう、アーバンの住宅密集地にマッチした店をつくっていくことが、これからのドラッグストアに求められることだと考えました。そして、その規模の拡大という路線はすでにある程度の企業はできてきているので、うちはローカルビジネスに徹することを決めました。

 北九州市は地理的に3万人とか5万人といったクラスタ(集まり)が点在している地域だとわかります。これは高齢化社会のコンパクトシティの見本ではないかと思えました。ということは、この北九州市で成功モデルをつくれば、高齢化が進む日本全国において、適用するモデルになると考えました。北九州は高齢化が進み人口が減少しているという暗い捉え方もされますが、私は未来都市、日本で例を見ないさきがけをつくる街のモデルが生み出せる都市なのではないかと分析したのです。

 そこで私たちは人口1万人に1店舗つくっていこうと方針を立てました。つまり半径500m、これは高齢者の足で徒歩10分という距離です。経産省の調査で都市部における高齢者の生活行動の80%は半径400m以内で完結しているというデータもありました。お客さまの最大到達距離が500mになるようにしよう、それで成り立つビジネスモデルをつくろう、と考えたわけです。当然、そこには高齢者が多いのですから、医療との連携の重要性はわかっていました。

 2003年に医療・介護などの複合施設の第一号が完成しました。住宅密集地に商業施設をつくると必ず反対運動が起こると聞いています。ところが、医療・介護、それに保育園などもセットした施設だと、地元の方から大歓迎されるんですよね。

 今回の話しのきっかけになったのですけども、ドラッグストアの店頭に血圧計や体重計、体脂肪計を置いて、買い物のついでに測定したり、自分の家の1階で測ったりして、ITを活用して私たちがデータの管理をすることが住まう方々のためになると考えたのです。データを管理し、運動したほうがいいですよとか、食事こんな風にしませんかといったアドバイスをさせていただく仕組みをつくろうということです。日常生活のなかで行える健康管理の仕組みを講演いたしましたら、飛んできてくださった方がいたわけです(笑)。

(つづく)
【司会・編集/柳 茂嘉】

<プロフィール>
oozono大園 信(おおぞの・まこと)
大英産業(株)代表取締役社長。1949年、大分県宇佐市生まれ。専修大学商学部卒業。73年に常務取締役就任、77年に副社長就任を経て2001年に代表取締役社長に就任。住まいのニーズを満たすことを通じて地域の人々とともに成長していける企業を目指す。趣味はゴルフ。

<プロフィール>
hirano平野 健二(ひらの・けんじ)
(株)サンキュードラッグ代表取締役社長。1959年、北九州市門司区生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業後、サンフランシスコ州立大学経営大学院でMBAを取得し、大手製薬メーカーに就職。86年にサンキュードラッグに入社、2003年に代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ。

 

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