2024年03月30日( 土 )

リアル書店は在庫置き場と化すのか

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2015年2月1日、丸善書店がジュンク堂を吸収合併<

2015年2月1日、丸善書店がジュンク堂を吸収合併

 書店が消えていく。福岡では老舗として相応の知名度を有していた(株)黒木書店(本社:福岡市西区、森脇啓太代表清算人)は、2016年6月15日、特別清算手続開始決定を受けた。さかのぼること09年には、九州最大手の書店チェーン明林堂書店(本社:大分県別府市、宮脇範次代表)が、宮脇書店(本社:香川県高松市、宮脇範次代表)グループとなった。ちなみに、黒木書店の7店舗も、宮脇書店が事業継承している。再編が進むなか、ふと考えるのは、「この先書店は生き残っていけるのか?」ということである。

 書店減少の理由の一つとして、ネット環境の充実が挙げられる。16年4月、楽天(株)(本社:東京都世田谷区、三木谷浩史代表)はスマートフォン・タブレット向けのコミック専門電子書籍ストア「楽天マンガ」をオープンさせた。約9万冊のコミック(取扱商品は順次拡大予定)が、月額300円(*)から読書可能となった。また、本の売買自体が、Amazonをはじめとするネットショップを介してオンライン上で行われている。無論、すべての書籍購入がネットに移行しているわけではないが、利用率は増加し続けている。呼応するように、本そのものもデータ化(電子書籍)され、市場に流通している。単行本として購入するよりも安価であることが多く、その人気は高い。

 全国屈指のネームバリューを誇るTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)(登記上本社:大阪市北区、増田宗昭代表)は、店舗内に自社運営カフェを併設したり、大学施設内に出店するなど、新しい取り組みを続けている。店舗運営型で本を売り続けていくためには、書店+αの組み合わせや、競合を寄せ付けない、意外な立地条件の確保が求められる。そうした創意工夫がなければ、書店は売り場ではなく、単なる在庫置き場と化してしまうだろう。

事前購入が必要となる専用仮想通貨「メダル」で支払いを行う。メダル1枚=1円。

 

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