2024年04月17日( 水 )

ポケモントレーナーへの注意喚起チラシが秀逸!

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
※クリックで拡大 ※クリックで拡大

 火曜、北九州市役所を訪れたとき、異様な光景に出くわした。北九州市役所は南に勝山公園がある。勝山公園は芝生が美しい、とても広い公園だ。が、そこにいる人はまばら。目を移すと市役所の東側に走る紫川の河畔には祭りのように人が集まっていた。川原にいるほとんどの人がスマホを片手にじっと画面を見ている。そう、今話題のポケモンGOのプレイヤーたちである。夏休みの学生たち、サラリーマン風の人、老若男女問わず多数の人が無言でスマホに見入っているのだ。広い勝山公園は閑古鳥、狭い河原は人、人、人。人気スマホアプリの威力をまざまざと見せつけられた。

 ポケモンGOは人気ゲームシリーズ「ポケットモンスター」のキャラクターたちを、スマホの拡張現実機能で捕獲、育成するゲームだ。場所によって出現するキャラクターや出現頻度に差がある。また、ゲームを進行するのに必要なアイテムをもらえる場所も決まっている。それゆえ、特定のエリアにプレイヤーが集まってしまうのである。市役所ロビーでも話題はポケモン。やはり川原の光景から話が出たようで、年配の男性が若手の男性にポケモンGOの説明を受ける光景が見られた。それだけ多くの人の関心を集めているのである。

 さて、このポケモン、久しぶりに活気のある話題として取り上げられているが、負の側面も報じられている。マナーの悪いプレイヤーたちによるゴミのポイ捨て、歩きスマホ、運転中スマホなどなど。日本に先んじてポケモンGOが利用可能になったアメリカでは事故が多数報告されるなど、社会現象のマイナス面も露呈した。日本ではそういった状況を鑑み、内閣サイバーセキュリティセンターが注意喚起を行っている。その注意喚起がユニークなのだ。ポケモンGOという個別アプリの名称こそ出していないが、表題は「ポケモントレーナーのみんなへおねがい♪」。役所としては、かなり思い切ったタイトルである。ちなみにポケモントレーナーとはポケモンを育てる人、つまりポケモンをゲームで遊ぶ人のことを指す。

 チラシでは漫画タッチの人物が描かれ、ゲーム中の架空の悪役「ロケット団」などの言葉を用いて懇切丁寧に注意点を掲げている。9カ条の注意点が挙げられているのだが、その中にはお天気アプリを入れてゲリラ豪雨などの天気に注意すること、熱中症対策をすること、予備電池を持つことなど、プレイヤーが快適にゲームをする事項まで注意を喚起しているのである。もちろん、歩きスマホしないこと、個人情報の流出への注意などもなされている。若年層への配慮か、とても分かりやすい文章で構成されているのも特徴的だ。

 内閣サイバーセキュリティセンターはデータ・マックスの取材に対し「キャラクターを使用したり、文章を平易なものにしたりする工夫は多くの人の目を引き、注意を守って安全にスマホを使ってほしいという願いから」できたものだとコメントした。

 内閣サイバーセキュリティセンターのチラシには、ポケモンGOの流行をスマホの安全性に対する考え方の啓もうにもつなげたいという意図があるようだ。まだ生まれたてのサービスは今後、どのように発展していくのか予測できない部分も多い。多くの可能性はまだ胎動している段階。安全の面、マナーの面で規制強化されて、挙句の果てに、これから生まれてくる新サービスの目をつぶしてしまってはあまりにも惜しい。トレーナーのみなさんには、この秀逸なチラシを一読していただき、楽しいゲームライフ・スマホライフを続けられるようにしてほしいと願うばかりである。

【柳 茂嘉】

 

関連記事