2024年03月29日( 金 )

住まいの快適とエコロジーをつなげる住環境づくり(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)九州住建

感謝の念から生まれた『顧客第一主義』

 地域密着型企業として地域に根付いた事業展開で、今や「福岡県糸島市のリフォーム・リノベーション・増改築会社と言えば(株)九州住建」と呼ばれるようになった同社。住宅のことなら何でも相談できる企業として、着実に業績を伸ばす同社だが、当初は防水工事業で経験を積んだ笠俊治社長が2002年に共進防水の屋号で独立したことが始まりだった。

room<

地元住民も気軽に立ち寄れるショールーム

 「独立当時はなかなか成果が上がらず、壁にぶち当たっていました。しかし家族や社員たちの必死の支えがあったからこそ、頑張れたと思います。また、そういった経験から、家族や周りの方々の大切さを改めて思い知りました。独立当初から掲げる『顧客第一主義』という理念には『感謝の念を忘れない』という思いも含まれています」と、笠社長は当時を振り返る。

 住宅建築のリフォームや設備工事で基盤を築き、07年に現商号に変更。09年には顧客との触れ合いを増やすため、ショールームをオープンさせた。その後、太陽光発電などの電力買取制度を利用したECO環境促進事業などを積極的に展開していった。しかし、とあることがきっかけで主軸を本来事業である建設業に置くことを決意。きっかけとなったのは、自宅を売って同社のある糸島市へ越してきた家族に接したことだ。

 そのとき、同社でリフォームや太陽光設営を手がけた住居が持ち主の転勤などでやむなく空き家となった場合、その後の管理を他業者に委ねることに疑問が湧いた。「手がけた家は最後まで自分たちが見届けたい」という住宅に対する愛情が、不動産販売・仲介事業の開設へとつながっていった。

 もともと同社の基盤は建設・リフォーム事業だったため、新築、増改築、防水、塗装、電気空調、設備、外構、リノベーションといった工事は得意とするところだ。これらの実績があったことが、不動産販売・仲介業の開設にも生き、15年からの本格スタートにつながった。

経験を活かし不動産販売・仲介業に注力

 不動産販売・仲介業では、「不要な土地や物件がある」という不動産所有者には土地などの活用法をアドバイスする。不動産の名義が替わるのは売買だけではない。ときには相続という、顧客の家族問題に深く関わる事例も生じる。これに責任を持って対応するために、同社の社員たちは相続知識検定マスターの認定を受けるなど、積極的に学んでいる。向学心は皆旺盛で、自主的に宅地建物取引主任の資格取得を目指して勉強する社員も増えているそうだ。

 また、購入した物件を販売するにあたっては、周囲の環境にも目を配る。住宅を購入するということは同時にその周辺の「環境」を買うのと同じと笠社長は考える。顧客に対しても個々の生活スタイルに合った環境に住まいを構えてほしいとの思いからだ。これもまた「より良い環境の提供」というテーマにつながる。そこには「家を買うということは、建物と同時に環境を買うということではないか」という発想がある。

 今後もさまざまなライフスタイルを想定しながら糸島市以外の不動産物件も積極的に売買・仲介をしていく予定だ。15年には福岡市博多区半道橋に福岡営業所を開設。より動きやすい環境づくりを目指している。

 同社は設立当初より、エンドユーザーに対して手厚いメンテナンスを施すことで資産価値を高め、次世代に継承できる財産とすることに意義を見出してきた。それは笠社長が掲げる「顧客第一主義」に沿うものだ。独自の顧客管理システムを立ち上げたのも、そのためだ。

 いつどのような工事(リフォームなど)を行ったかという履歴が一目でわかるシステム『住宅のカルテ』の活用により、売り手は資産価値の鉱場や管理の簡易化が図れる。買い手は、住宅の現状をよく知る同社を頼りにしながら、その後も良い状態に住宅を保つことができる。医療現場でいうところの『お薬手帳』のようなものだ。これにより、通常起こり得るトラブルなどの回避につながっている。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:笠 俊治
所在地:福岡県糸島市前原東1-6-3 双栄ビル1F
設 立:2002年5月
資本金:2,000万円
TEL:092-332-1231
URL:http://www.q-j-k.co.jp/

<プロフィール>
ryu笠 俊治
1972年生まれ。西福岡高等学校(現・福岡講倫館高等学校)中退後、防水工事会社で技術者として経験を積む。2002年に独立し、07年に(株)九州住建へ商号変更。趣味はゴルフ。

 
(後)

関連記事