2024年03月29日( 金 )

技術力よりも人間力、自分の子どもや孫たちまでも入社させたくなる企業へ(前)

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第一電建(株)

サービス業であるために、マナーアップと気付きのトレーニング

第一電建(株) 高山 幸治 代表<

第一電建(株) 高山 幸治 代表

 福岡市博多区井相田に本社を構え、電気工事を手がける第一電建(株)。1971年6月の創業以来、官公庁の案件を中心に数々の工事実績を積み重ねている。同社は道路照明・交通信号機などの工事を行う外線グループ、ビル・住宅など建物内での工事を行う内線グループ、そして暮らしのトラブルを解決する「住まいるレスキュー隊」の住設グループという3グループで事業を形成。「電気工事もできるサービス業」を掲げ、暮らしの安心安全を届けている。

 同社では月に一度、全社員を対象にした外部講師を招いてのマナーアップ研修を実施している。そのなかでおもてなしの心、接遇などを細かく指導を受けている。「作業が早く、丁寧では普通の満足しか与えられない」というのが高山幸治代表の考えだ。サービスの付加価値を追求することで、リピーターが増え、指名される作業員もいるほど、効果が上がっている。

 そのほか、「気付き発見討論会」というのもある。サービス業で最も大事なのは気付きであると強調する。他から聞いたり読んだりする理屈ではない。気付きは訓練しないと、できるようにならないというのが持論だ。気付くことにより、新しい発見が生まれ、提案につながる。能動的に新たな発見を求めるようになり、現場でも無意識に気付くことが可能となる。

 また経営理念の浸透を目指し、月に一度社長が講師をつとめる「社長研修」も催している。「理念を掲示、唱和するだけでは伝わらない。社員の心が動かされるまで徹底的に伝える」と高山代表。理想とするのは人間臭い親父(おやじ)。会社は家族。おやじである社長のためなら、やってやろうと社員は奮い立つのだ。また高山代表は社員の家族までも、1つの大きな家族と捉えている。そのため、入社前に新卒者の保護者を招き、「保護者懇談会」を開催。企業の目的、ビジョン、価値観を新卒者の最も近くにいる家族に伝えるためだ。「誰しも、始めたばかりの仕事で壁にぶつかる。それを乗り越えるためには、会社はもちろん、保護者のサポートも力になってくれる。そうやって、双方から支え合い、一人前の社会人に育てていきたい」(高山代表)。このほか、育児、介護休暇など10以上の制度を設けており、福利厚生も充実している。

緻密な行動計画表を作成し、全社員の幸福の追求

 社員の自己実現を明確にする。「自身が65歳で定年退職を迎える際に、どうなっていたいのか、そのために10年後、20年後はどうあるべきなのか」を言葉で明確に表明してもらう。1カ月の行動計画表を作成し、1日の行動を社員自身で確認させている。

 私生活の充実を含めた年間行動計画を立て、それを12分割し、さらに1日ごとの目標を立てていく。これを12カ月達成することで目標が達成される。この行動計画表作成により、社員自身が気付いたことがある。それが「日々をいかに無駄に過ごしていたか」ということだ。「その反省と1日の目標達成、その先に成長がある」と高山代表は語る。意思だけでは到達は難しい。そこに願望があってこそ、成立するのだ。

 この計画表をスタートさせるに当たり、1年もの歳月をかけた。社員の願望を引き出すため、代表が社員1人ひとりと語り合う時間を持ち、コミュニケーションを取るようにしている。一対一での話し合いはプライベートな部分にまでおよぶ。とくに仕事の話はしないが、家族の話、趣味の話をしているときは、社員が生き生きしてくる。趣味を楽しみたいのであれば、その時間を確保するために平日の働き方を変えていこうというアドバイスができ、それを実行しようという願望が発生するのだ。内勤者とのコミュニケーションは比較的とりやすい。しかし、現場作業や営業を担う社員とは接点が少なくなりがちだ。そこで、高山代表は社員が戻る夕方に1時間ほど本日の成果をヒアリングする。「この会社は社長との距離が近い」と口々に社員が話すほどだ。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:高山 幸治
所在地:福岡市博多区井相田2-8-15
設 立:1971年6月
資本金:2,300万円
TEL:092-588-2260
URL:http://www.d-denken.co.jp

<プロフィール>
takayama_pr高山 幸治
1974年、福岡県春日市生まれ。2009年8月に同社代表に就任。趣味はゴルフとお酒。常識にとらわれない発想で、地域に暮らしの安全を届けている。

 
(後)

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