2024年04月20日( 土 )

【あの会社は今】急成長の歪か?トラブル多発で窮地に立ったアスカ(前)

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 「無添加化粧品」「電話はしません」をキャッチフレーズに急成長。ピーク時は売上高100億円を超え、九州有数の通販企業として全国で知られる(株)アスカコーポレーション。その成長と引き換えに、表示や虚偽表示違反による行政処分をはじめ、トラブルが相次ぎ、業績も減少が続いている。

「品質」と「肩書」を武器に代表自らが広告塔に

aska (株)アスカコーポレーションは、現社長の南部昭行氏が1994年1月に大分市松原町で設立した化粧品販売業の(株)アスカが前身。99年、福岡市博多区で改めて現商号で設立している。南部氏は同社設立前、外資系の石油会社に勤務。航空機燃料の開発などを担当していたとされる。在職時に、石油を含む化学合成物質を使用していることが多い化粧品の危険性や安全性に警鐘を鳴らし、天然成分にこだわった化粧品の開発・販売を手がけるようになった。

 99年に英国にあるウエストミンスター大学の生物化学博士号、2000年から01年にかけ、同じく英国・ジェイムス大学の名誉環境科学博士号や、薬学・栄養学の分野でも博士号の学位を取得している。この経歴が製品に対する信頼度を高め、自らが広告塔となるための動機付けとなっている。また、同社商品の箔付けとなったのが「モンドセレクション」。09年に最高金賞を受賞するなど出品した31商品が各賞を受賞。翌10年には50商品が受賞されている。南部氏は自らの肩書や受賞歴を背景に、販売でも自らが表に出ることが多い。会員に送られるカタログや折り込みチラシには「南部のイチ押し」といった表現を用い、会報誌や書籍では、一般に伝えられていない製造にかかわる化学合成物質の危険性など、グレーな裏話を紹介することで自社商品の優越性を訴え、消費者への説得力を高めている。

 販売形態はテレビCMをはじめ、インターネット、カタログ・DMによるインバウンド方式。同社の商品を紹介する有名なキャッチフレーズ「自信があるから電話しません!」は、当時の通販で主流だった電話によるアウトバウンドセールスに対して一石を投じた。自社商品に対する自信と、客に不快な思いをさせたくないという情熱が顧客の信頼感をつかみ、インパクトのあるフレーズとなって業績を急伸させる要因を作ったようだ。また、当時は少なかったお試し商品からの定期購入の引き上げや顧客カウンセリングからの他商品の紹介を合わせた「クロスセル」といった販売手法、また全国の大型小売店内にアンテナショップを設置するなどし、化粧品や健康食品のほか、味噌・醤油・野菜といった一般食材にまで取り扱いを広げることで、設立から6期目の04年8月期には売上高100億円を突破した。ピークは07年8月期で、売上高は115億円に達し、顧客数は100万人を突破。一躍、九州の有力通販企業の仲間入りを果たした。

(つづく)
【小山 仁】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:南部 昭行
所在地:福岡市博多区住吉1-2-25
設 立:1999年9月
資本金:1,000万円
売上高:(15/8)約50億円

 

(中)

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