2024年04月24日( 水 )

【あの会社は今】急成長の歪か?トラブル多発で窮地に立ったアスカ(中)

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行政処分・訴訟問題など、根幹揺るがす問題が頻発

(株)アスカコーポレーション 南部 昭行 社長

(株)アスカコーポレーション 南部 昭行 社長

 しかし急伸を続けていた裏側では、さまざまなトラブルが多発している。2002年に福岡県薬務課より、同社の会報誌に掲載されていた「天然成分100%」が誇大表示であったほか、化粧品の全成分表示義務に沿った表示でなかったことなどが指摘され、旧薬事法(現医薬品・医療機器に関する法律)にも抵触するとし、会報誌の回収や表示内容を修正するなどの指導を受けた。

 翌03年、福岡県警察署は同社商品の洗顔パウダーが、実際には実用新案登録をされていない商品であり、登録されている商品と偽って販売したとして南部社長らを実用新案法違反で書類送検した。08年には通販事業に絞るために、全国49カ所あった店舗を閉鎖。それにともない解雇されたのは不当だとして、東京・名古屋・大阪で勤務していた元社員と契約社員12人が「業績が順調にも関わらず、店舗を閉鎖する必要がない。会社側は解雇を避ける努力や社員との協議を尽くしておらず、解雇権の乱用」を理由に、解雇無効の確認と、解雇通知以降の賃金の支払いを求め、大阪地裁に提訴。10年に裁判所の和解勧告により、基本給12カ月分に相当する総額2,700万円を支払い、和解している。この裁判では原告女性の1人が、「会社側から自費で転居すれば福岡本社か東京の支社で働けると言われたものの、断ったら解雇された」ということも明らかにされた。

 さらに同社の根幹を揺るがす出来事が起こったのが、09年12月。農林水産省は同社および製造先の(株)ジュポンインターナショナルに対し、同社が販売する健康食品「オーガニックヘルスミッション天然青汁DX」をはじめ25品目が(1)有機農産物加工食品でないにもかかわらず、有機農産物加工食品の名称の表示と紛らわしい表示を付して販売、(2)有機原材料を使用していないにもかかわらず、「オーガニック」、「ORGANIC」または「Organic」と内容物を誤認させる表示を付して「オーガニック原料を使用」などの強調表示をして販売していたこと、(3)事実と異なる原料原産地表示をして販売していたことなどが、JAS法による不適正表示に当たるとし、紛らわしい表示の除去または抹消を命令する行政処分を受けている。

aska2 当時の取材で、農水省は同年8月に寄せられた問い合わせをもとに調査したところ、「オーガニック」など明らかな違反が認められ、同社に改善を促したが、同年9月に再調査した際、違反表示を続けており、改善が見られなかったことで処分に至ったとしている。該当商品の販売は消費者26万人に約40万点、約17億円分に上るとし、発覚した当時は各メディアで「健康食品通販業界ではでは過去最大規模の偽装」と報道され、同社の信用失墜と業績降下につながる大きな要因となったようだ。

 このJAS法違反のほか、01年頃から同社製品や販売について苦情が消費生活センターにも寄せられるようになる。その一例を見ると「通信販売で美容液を購入したが、原料の魚が腐ったような匂いがした。色も尿のように黄色いので苦情を申し出た」「化粧品を使って3カ月程度で皮膚に異常を感じ、お客様相談窓口に電話したところ、症状を抑える化粧品と言って別の製品が送られてきた。それを使用したところ、一層症状が悪化し、病院に行き、再度問い合わせたら、医師の診断書があれば返金するとの事だった」「友達を紹介すれば紹介した数のサンプルが郵送され、自分にもメイクパットがプレゼントされるキャンペーンに応募し、10人紹介したが、メイクパットは送られてこなかったので再三請求したが“お待ちください”の返事が続いている」など、同社事業の杜撰さを感じさせる内容である。

(つづく)
【小山 仁】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:南部 昭行
所在地:福岡市博多区住吉1-2-25
設 立:1999年9月
資本金:1,000万円
売上高:(15/8)約50億円

 

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