2024年04月19日( 金 )

国土交通大臣から表彰された累計6,000棟の『屋根の革命』(後)

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(株)栄住産業 代表取締役社長 宇都 正行 氏

屋根の革命を実践

 (株)栄住産業は、創業より下屋部分をフラットにし、そこをバルコニーとして使い、バルコニーを金属防水するという工法を採択。試行錯誤のうえに他社にない技術を構築した。この金属防水工法は、現在の屋上緑化・庭園の礎となる同社ブランドの『スカイプロムナード』の開発につながっていった。『スカイプロムナード』は、耐久性・防水力に優れたステンレス・鋼板に表面保護膜加工を施し、建物の揺れなどに対応できる『オープンジョイント工法』を用いたものである。この『スカイプロムナード』は、利用できる自然エネルギー(太陽・風・水・樹など)を逃さず、住宅設備を最小限に抑えることが可能な住宅─ドイツのパッシブハウス研究所が規定する性能基準を満たす認定住宅『パッシブハウス』の国内の施工時に採用されたことで知られている。『パッシブハウス』はこれからの理想の住宅として認知されており、それに採用されたことは、意義深い。

(株)栄住産業 代表取締役社長 宇都 正行 氏<

(株)栄住産業 代表取締役社長
宇都 正行 氏

 『スカイプロムナード』を有効活用したものが、屋上緑化・庭園である。しかし、屋根のフラット化による屋上緑化・庭園は、木造住宅の屋根には傾斜が必要であるという工務店の強い固定観念に直面した。日本の屋根は、傾斜と瓦の融合した世界的に見ても美しい建築文化があり、「それを取り払うことはあり得ない」という、建築家や工務店側の想いが圧倒的であった。それでも宇都代表は、屋上緑化・庭園の有効性を丁寧に説いて回った。この地道な営業活動により、次世代の若い工務店経営者が、「ぜひともやってみましょう」と採用し始めた。完成後は、施主と工務店から高い評価を得て、同社の屋上緑化・庭園を支持する工務店が増加した。宇都代表の「家には庭があることがベスト」という信念と熱き想いが、実を結んだ。

 「東京・大阪を中心とした都心部の戸建住宅は、坪単価が100~200万円で、狭小がほとんどです。狭小であるため、庭を持つスペースがないのです。“家庭”は家の庭と書きます。庭こそ家族にとって不可欠なものであるのです。庭を持てない家にどのようにして庭を作るのか?それは、屋上スペースの有効活用です。青空のもとで、緑に囲まれたスペースで、ガーデニングや家庭菜園、ゴルフの素振り、お子さんとのキャッチボールなどスポーツの練習、家族や友人との語らいの場、昆虫や動物とのふれあいなど豊かなライフスタイルを作れる場をもたらす、まさしく“屋根の革命”です」(宇都代表)。家族の絆を深め、人々との交友を広げ、そして子どもの情操教育を豊かにする効果が作られるのが、同社の屋上緑化・庭園である。この戸建住宅に対する崇高な理念が、国に認められたのだ。

工務店の発展に貢献

 同社は、現在も同社開発の屋上緑化・庭園を採用した家を施工することで、各地の中小の工務店の業績が向上するためのサポートを行っている。

 サポートとは、『ブルーオーシャンシステム』と名づけられた建築マネジメントのシステムだ。(1)見積、(2)工程管理、(3)見積もったその家のパーツ、(4)これからの必需品省エネ計算の4つのパートに分かれたマネジメントのシステムを使うことで、各中小の工務店の仕事を代行するサービスである。小規模な工務店は、人員が限られ顧客への提案が後手になり、受注を逃してしまうケースが多々発生するという。その提案のための監理全般の書類を作ることで、工務店のサポートを行う。このシステムを同社は、すべて無料で提供している。
 そして、ZEH(Net Zero Energy House)の導入のサポートを同社が各地の工務店へ実施している。高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味のエネルギー量をおおむねゼロとする住宅は、国が2020年には戸建住宅のスタンダードとして建築許可申請取得の必要条件とする見込みだ。

 同社の宇都代表は一貫して工務店と施主の役立つことを最優先させた事業展開をより発展・進化させるために邁進してきた。同社の大手に勝るとも劣らない技術とサービス展開によって、これからも戸建住宅にさまざまな革命をもたらし続けていくことになるだろう。

(了)

【河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
(株)栄住産業
代 表:宇都 正行
所在地:福岡市東区原田3-5-6
設 立:1976年2月
資本金:9,800万円
売上高:(16/3)52億399万円
URL:http://www.eijyu.co.jp

 
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