2024年04月19日( 金 )

ロシア進出は今がチャンス!リャボフ総領事が講演~福岡県中小企業家同友会

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福岡の中小企業経営者を誘致

福岡の企業経営者が集ったセミナーの様子<

福岡の企業経営者が集ったセミナーの様子

 12月に予定されているプーチン大統領の訪日および安倍首相との会談。日本との政治的関係の改善への期待が高まるなか、10月25日、オレグ・リャボフ在大阪ロシア連邦総領事が、福岡市の中小企業経営者を対象としたセミナーで講演を行い、「ロシアへのビジネス進出は今がチャンス!」と訴えた。
 リャボフ総領事が講演を行ったのは、(一社)福岡県中小企業家同友会 国際交流委員会の10月定例会。講演には、元ソビエト連邦日本大使館一等書記官で、現在、在日ロシア人会の会長を務めるユーリー・ブーラフ氏が同行。同委員会の石橋一海副委員長(エヌ・ビー・エス(株))がブーラフ氏と十数年来の友人ということで実現した。

 ブーラフ氏は、ロシアへのビジネス進出におけるメリットとデメリット、新制度「ウラジオストク自由港」について説明を行った。ロシアビジネスの最新事情という貴重な内容が聞けることもあり、セミナーには、さまざまな業種の企業経営者のほか、起業意欲のある福岡大学の大学生も参加し、熱心に耳を傾けていた。
 同氏によると、2015年10月に施行された制度「ウラジオストク自由港」は、進出する企業に、免税措置や企業登録・事業許認可の簡素化、流通整備・融資・労働力確保への協力などの優遇措置が設けられるというもの。ヨーロッパやアメリカの経済制裁による石油価格の下落によって、資源依存型の経済構造の変革が急務となったことが自由港政策の背景にあるという。

ブーラフ氏(左)とリャボフ総領事(右)<

ブーラフ氏(左)とリャボフ総領事(右)

 日本企業のロシア進出のメリットは、日本食や日本製品など、「メイド・イン・ジャパン」に対するロシア人のニーズの高さ。たとえば自家用車は、販売量は半減したものの、日本製の高級車やランドクルーザーが売れ行きは良く、他の商品でも量販品ではなく日本の高質品が好まれるという。これに「ウラジオストク自由港」の優遇措置が大きく後押しをする。ロシアの政府基金による融資(事業予算の30%)は、金利5%と高く思えるが、ロシアのインフレ率は2016年で7%。ウラジオストクに生産拠点をおき、中国東北地域へ進出するという展開も考えられる。

 ロシアは、日本の中小企業の誘致による経済交流の活性化を目指し、まずは人的交流の増加を図るため、観光地としての魅力化にも努めている。「日本に一番近いヨーロッパ」(ブーラフ氏)というウラジオストクでは、西洋建築の街並みに加え、本場サンクトペテルブルグの有名バレエ団を鑑賞できる劇場をはじめ、水族館や博物館など観光スポットが新設された。冬にはウインタースポーツを楽しむことができる。今後、日本政府の経済援助の一環としてビザの簡素化も期待されている。

 リャボフ総領事は取材に対し、「政治における日ロ関係は良くなってきており、経済交流を発展させるチャンスが訪れている。今やらないといけない」とコメント。今後も、精力的に日本企業への誘致活動を行っていく考えだ。世界銀行が発表する「ビジネスのしやすさランキング」で、2011年の124位から16年51位に大きく順位を上げたロシア(日本は11年20位→16年34位)。事業環境はさらに良くなることが予想される。今回の講演を受けて、国際交流委員会では、ウラジオストクの視察ツアーを検討している。

 なお、福岡県中小企業家同友会では、毎月、企業経営、ビジネスに関連した各種テーマの勉強会・セミナーを開催している。詳しくは関連リンクのホームページで。

【山下 康太】

▼関連リンク
・一般社団法人 福岡県中小企業家同友会ホームページ

 

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