2024年04月16日( 火 )

公費投入50億円 鹿児島・松陽台県営住宅への疑問(2)

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 近隣住民の反対を押し切り伊藤祐一郎前知事が建設を強行した県営第二団地。50億円の公費を投入し、低所得世帯の“子育て支援”を目的に作られた県営住宅だが、その実態は県の発表とは程遠いものだった。
 取材当初、県土木部建築課住宅政策室から説明された入居条件は「未就学児の子どもを持った松陽台県営住宅の所得制限は月収21万4,000円以下の世帯」。しかし、現地に赴くと駐車場に車が2台ずつ並んでいるという異様な光景に出会う。取材を進めていくうちに、月収50万以上でも低所得者向けの県営住宅に住める仕組みがあることがわかった。

県民所得37位で年収626万が低所得者?

syouyoudai 月収50万円以上でも入居可能であることがわかった松陽台県営第二団地。県土木部建築課住宅政策室に説明を求めたところ、「松陽台団地は『公営住宅法』に基づいて管理・運営しています」――。どうやら県庁は、鹿児島県民にとっての月収52万1999円が、どれだけ大きな金額であるのかわかっていない。

 総務省の公表データによると、鹿児島県の県民所得は一人当たり239万9,000円。これは、全国で37位の数字だ。一方、県営住宅が設ける入居基準の最高額は、月額52万1,999円で年間だと626万3,999円。鹿児島県の所得水準を、全国一律の法基準に合わせるには無理がある。

 三反園訓県知事の後援会公式サイトで、知事は次のように記している。

≪有効求人倍率が全国45位、一人当たり賃金37位という現状で、県民からは「もっと生活をよくしてほしい」という声が多い。≫

 県民所得239万9,000円の鹿児島で、600万円以上の年収を得ている人を「低所得者」と呼べるのか?知事をはじめ、多くの県民が、「NO」と答えることだろう。入居希望者が戸数を上回った場合は抽選。しかし、前述した基準の上で抽選が行われた場合、本当に公営住宅を必要としている県民が抽選に漏れてしまう可能性が大だ。鹿児島で住宅を求めている本当の低所得者から、県営住宅入居の機会を奪っているのが現状だろう。

 低所得者向けとしながら、実態が伴っていないのは所得制限だけではない。松陽台二団地が置かれている住宅環境には、大きな問題があるのだ。

(つづく)

 
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