2024年04月20日( 土 )

泥沼化する縁者同士の企業間トラブル(前)

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 「縁者間の経営者同士が、商品取引をめぐってトラブルになっている。関わっているのは、福岡県内にあるA社、B社、C社の3社。A社とB社の代表同士は親子関係にあり、C社の代表はB社代表の兄で、A社代表の伯父となる。3社とも同業者で、雑貨商品の販売を手がけている。このうちB社が経営難に陥っており、A社を経営する息子に再三にわたって商品の卸を要請するも、A社は一切応じない。そこで兄が経営するC社にも打診するが断られ、八方ふさがりとなっている。B社に援助して再建できるように、A社とC社の態度が軟化してほしいのだが…」――そのような話が、記者の耳に入ってきた。

office3 A社は、2005年4月に設立された雑貨品各種の製造・販売業者。このA社の代表は、同業者であるB社の代表の子息である。
 B社は、会社設立から20年以上が経つ同業者で、代表を務めるのはA社代表の母である。かつての業績は概ね好調に推移していたが、近年は厳しい資金繰りを強いられ、経営難に陥っている。
 C社は、会社設立からすでに40年以上が経ち、年商は15~20億円台で推移。堅実に事業を展開している。このC社の代表は、B社代表の兄でA社代表にとっては伯父にあたり、B社の会社設立にも深く関わっているとともに、A社代表の“後見人”としての役割も担っている。

 A社は、設立当初は服飾雑貨関連の商材を取り扱っていたが、約3年前から、実母が代表を務めるB社の事業である趣味雑貨商品の販売を手がけ始め、業務の拡大を図った。当初、取引は円滑に進められていたが、近年はA社とB社の間で、商品の供給や金銭関連でのトラブルが表面化。さらにこの間に、C社や地場の大手地銀、さらにはA社およびB社の大口仕入先までを巻き込む事態となっている。

 この件に関して、当事者である3社に取材を申し入れ、B社およびC社の代表からは話を聞くことができた。A社にも直接訪問して取材をお願いする旨を伝えたが、本稿出稿までに連絡はなかった。

 B社代表、C社代表とも、取材の初めのうちは客観的な事実を提示したうえで、これまでの経緯を話してくれていた。だが、話が進んでいくうちに、だんだんと感情的な話へとシフトしていった。2人は妹と兄という関係であり、本来ならば支え合ってもおかしくはない間柄だ。だが、双方の主張の大半は、とても支え合うとは言い難い、お互いへの“苦言”が占めていた。

 今回の件では、残念ながらお互いの主張は180度異なった。2人が身内である以上、どちらが正しく、どちらが悪いという判断を、第三者が下すことは難しい。それでも1つわかったことは、結局は金銭的な問題が起因しているということだ。お互い「お金の問題ではない」との主張はしていたが、突き詰めれば結局はお金の問題であった。こうした金銭的な問題は、それが近しい間柄であればあるほど泥沼化し、厳しい状況となっていくのは世間でもよくあることだ。

(つづく)
【河原 清明】

 
(中)

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