2024年03月29日( 金 )

迷いのなかで出会った経営理念、社員に「伝わる」までの仕組み作りが重要

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第一電建(株)

 ――理念経営導入のきっかけは?

第一電建(株) 高山 幸治 代表<

第一電建(株) 高山 幸治 代表

 高山幸治代表(以下、高山) 理念経営実践の取り組みは代表になる前から準備していましたが、本格化したのは代表に就任した2009年以降。きっかけは、中小企業家同友会の経営基本指針作成セミナーに参加したことです。そこで学んだのが、「経営理念が全ての羅針盤である」ということ。会社をどういう方向に持って行くべきか迷いがあったのは事実で、何か心の頼りを探していました。それが経営理念だったのです。

 準備していた経営理念を2009年初版を作成。その後もっとわかりやすくするために、余計なものをそぎ落として改訂し、今の経営理念ができました。最新鋭の機械を入れても使うのはヒト。人間力を上げていかないと、組織は強くならない。電気工事の完成形はどこの電気工事屋でも同じ。「誰がその仕事をしたのか」が重要なのです。何度も何度も作り直して、今のかたちになったのは2年前です。

 ――経営理念は、時代とともに変化するものでしょうか。

 高山 経営理念は長期的には変わらない。理念はやり方ではなく、あり方。コロコロ変わるようなものではないと思います。

 ――導入した最大の効果は?

 高山 経営理念が、社員全員のすべての行動の判断基準となりました。儲かる仕事の前に、この仕事は自社の理念に合致しているのか。合わないなら、やる必要はないという判断ができます。導入によって、社員が自発的、主体的に動くようになりました。いちいち上司に意見を仰がない。経営理念に照らして行動すれば、全社員が自己判断できます。また、理念に共感してくれる人材を採用するようにしています。これにより、社員の質を維持できるようにもなりました。

 ――素晴らしい理念でも、その浸透は難しいと考えます。

 高山 一度言えば伝わるものではないという前提で、伝えないといけない。経営理念を掲示する会社もありますが、掲示して伝わるものでもない。つまり、経営陣は伝えていると思っている。しかし、それは「伝わる」とは違います。「伝わる」という最終地点までの取り組みを逆算して計画しないといけない。弊社では、理念実現のための人事評価制度も導入しています。浸透させるためには、そこまで本気で取り組む必要があると思います。

 スローガンやお題目では伝わらない。以前は弊社もそうでした。「何度も言っているのに、なぜわからないのか?」―能力不足を社員のせいにしていました。しかし、理念を伝えていないのは、社長の責任。究極を言えば、経営者の最大の仕事は採用と教育にあると思います。

 ――最後に、「良い会社」とはどんな会社でしょうか?

 高山 弊社の経営ビジョンのなかに、「子どもや孫までも入社させたくなる会社」というフレーズがあります。地域から、家族から辞めないでほしいと言われる会社は、良い会社だと思います。理念経営導入から成果が表れてきましたが、まだまだ道半ば。理想までは半分もたどり着いていません。それだけに、毎日にワクワク感がいっぱいです。

【東城 洋平】

第一電建(株) 経営理念

私たちは人間尊重を基軸とする企業活動を通して
お客さまの「喜びと安心」に貢献し、全社員の幸福の追求と
地域社会の繁栄に寄与する事を目的とします。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:高山 幸治
所在地:福岡市博多区井相田2-8-15
創 業:1971年6月
資本金:2,300万円
TEL:092-588-2260
FAX:092-588-2270
URL:http://www.d-denken.co.jp/

 

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