2024年03月29日( 金 )

RIZAPグループの正体(後)

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ボディーメイクに特化したトレーニングジムで大当たり

diet ようやく運が向いてきた。金鉱を探り当てたのだ。傘下の(株)グローバルメディア研究所は13年4月、(株)スポーツアカデミーからウイングスポーツクラブとゴルフガーデン事業を買収した。買収額は1億7,000万円。12年から取り組んでいたスポーツクラブの運営に本格的に乗り出した。13年12月、商号をRIZAP(ライザップ)(株)に変更した。

 瀬戸健氏は、逆張りでスポーツクラブに参入した。各地にあるスポーツクラブの主流は、大規模の施設を備え健康増進や体力向上を目指していた。いまさら、同じスポーツクラブを作っても勝ち目はない。
 そこで、ボディーメイクを目的としたパーソナルなトレーニングジムに特化した。専属トレーナーがマンツーマンで徹底したサポートを実施。料金は2カ月で37万円ほどと高額だが、食事指導や厳しい筋トレで肉体改造することを目玉にした。見るからにメタボの男性やでっぷりお腹の女性が、スタイル抜群に生まれ変わるテレビCMは評判となった。

 ライザップの大当たりで業績は急上昇。16年4~9月期の売上高は前年同期比1.6倍の415億円、営業利益は4.2倍の63億円、純利益は5.2倍の42億円。ライザップの国内店舗数は9月末で83店舗と、前年同期から4割強増。会員数も6万人弱と4割増えた。17年3月期通期は、売上高は1,000億円、営業利益は101億円を見込むなど鼻息は荒い。

週刊誌に叩かれ、子会社社長はインサイダー取引の疑惑

 一躍、有名になったライザップだが、好事魔多し。『週刊新潮』(15年6月18日号)が「2カ月で37万円『ライザップ』の客が危ない!」を掲載。トレーナーの8~9割が知識や経験のないパートタイマーであり、スタッフが低賃金で17時間休まず働かされ、さらにトレーニングや減量指導に不満を持つ会員が返金交渉で苦慮しているという内容を報じた。

 今年10月26日、RIZAPグループの子会社の元社長を、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査した。同社(旧健康コーポレーション)は昨年2月、大阪府のアパレル通販の夢展望(株)を子会社化した。発表後、500円台だったRIZAPグループの株価は700円超に高騰。子会社の社長は、事前に知人名義で同社株を買い付け、公表後に売り抜けることで1,000万円を超える利益を得たという。
 急成長会社にありがちな危うさがつきまとう。大丈夫なのか?

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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