2024年04月20日( 土 )

不正発覚!福岡市屋台公募はやり直しが妥当~一部の応募者に解答漏えい

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

選定委員による解答の漏えい

第一次審査の採点表※クリックで拡大

第一次審査の採点表
※クリックで拡大

 福岡市の屋台公募で不正が発覚した。審査を行う福岡市屋台選定委員会の委員が、一部の応募者に対して応募書類に関する指導を行っていたのである。市は、審査の公正・公平を理由に、応募者本人にも実際の審査で用いられた応募書類を公開しないなど、審査に関する内容を過度に非公開としているが、その「闇」の中で不正が行われていた。

 不正が発覚した委員は、福岡市移動飲食業組合の組合長。天神地区の募集箇所15カ所に対し、53名が応募した営業計画書などの書類による第一次審査において、10月末の応募締め切り直前に「関係法令遵守に向けた取り組み」について組合員2名を添削指導。また、副組合長に応募書類の記載例を渡し、副組合長は、別の組合員7名を指導したという。審査する側の審査基準つまり解答の漏えいに等しい。この不正がどのような結果につながったのか、市は、審査結果の順位も含めて詳細を明らかにすべきだ。

 今回の第一次審査において100点満点中50点と最も配点が高いのが、この「関係法令遵守に向けた取り組み」である。小項目では、安全快適な公共空間の確保(道路・公園占有関係)、良好な公衆衛生の確保(食品衛生関係)、その他の遵守事項、危機管理にわかれる。情報公開された関連文書では、小項目ごとの配点は非公開(黒塗り)とされたが、市側の理由は、「審査基準の公開が今後の公募における審査に支障が出るため」。応募者にも配点の内訳を教えず、応募書類を公開しないことからすると、次回の公募でも同じ基準(解答)が用いられるということなのだろう。

 

一部の屋台営業者の代表が参加

 ややこしい話だが、福岡市移動飲食業組合は、福岡市全体の屋台を代表する団体ではない。このほかに長浜移動飲食業組合と博多移動飲食業組合が存在しており、おおむね各地区の屋台で構成されている。屋台公募の根拠である福岡市屋台基本条例(屋台条例)は、選定委員の資格者を、市民、学識経験者、市議会議員、屋台営業者団体の代表者としており、このなかから市長が任命すると定めている。

 ただし、今回の公募で13名の選定委員に入ったのは1つの屋台団体の代表者だけ。「利害関係にある屋台の関係者が選定委員でいることに違和感があった」(委員会関係者)。三組合から1人に絞ったのは市の方針という。一方、2012年に市が設置した「屋台との共生のあり方研究会」(会長はジャーナリストの鳥越俊太郎氏)では、三組合の代表者が関係者委員として参加。同会は、13年9月に施行された屋台条例の制定に大きく関わった。現在営業中の屋台の廃業を左右する選定に、一部の屋台団体の代表者だけが直接関与すること自体、はたして公正・公平といえるのか。

 第一次審査終了後の16年11月21日に開かれた第2回の選定委員会では、福岡市移動飲食業組合の組合員一同から選定委員会あてに提出された嘆願書(添付画像の赤下線部)が議題に上がっている。内容は、審査において屋台営業の経験を考慮するように願い出たもの。応募した名義貸し屋台組合員の数が市側によって黒塗りとされているが、他の資料との比較で11名であることがわかっている。公開の公募に応募した屋台営業者は25名。一部の声が選定委員会に諮られた形だ。

 選定委員会の在り方から、大きな疑問符がつく今回の屋台公募。屋台全体のイメージダウンにつながる。もはや審査の実施方法から見直して、やり直すのが妥当だ。

【山下 康太】

第2回選定委員会議事録より抜粋(赤下線はNetIB編集部)

第2回選定委員会議事録より抜粋
(赤下線はNetIB編集部)

関連記事