2024年03月29日( 金 )

東京オリンピックで開花するか?数々の新技術の芽(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、5月26日付の記事を紹介する。


 また、別の視点になるが、アメリカのCIAでは「2024年に人類や地球環境を大きく揺るがすような金融パニックが発生する可能性」を指摘している。国防総省とは一線を画すかたちで、CIAも地球が直面する未曾有の挑戦にどう備えるか警鐘を鳴らしていると言えよう。

 そうしたなか、2020年の開催が決定したのが東京オリンピック・パラリンピックである。どのような記録が生まれるものか。また、その記録を達成するために各国のスポーツ選手たちがどのような人体改造計画の成果を背負って競技に挑むのか、大いに注目されるところである。

 ところで、安倍総理が2020年の東京オリンピック招致のために世界に向けて「アンダー・コントロール」発言をしたことは今でも多くの人々が記憶していることであろう。何かと言えば、福島で発生した原発事故がもたらす放射能汚染が東京をはじめオリンピックの競技会場で選手や観客に影響をもたらすのではないか、との懸念の声を払拭するための総理発言のことだ。

 果たして、安倍総理が世界に約束したような安全な環境が国内で整っているものかどうか。福島の原発事故現場からは依然として高濃度の放射線汚染物質が漏れ続けており、安全な処分方法も確立されず、最終処分場も決まらないまま蓄積されている。台風や集中豪雨により、そうした危険な汚染物質が河川や海に流出し続けているではないか。土壌汚染や大気汚染に関しても、その実態が十分解明されたとは言い難い。

 こうした懸念が解消されないまま、東京オリンピックが2020年には開催されようとしている。とても福島発の原発危機がコントロール下にあるとは思えないのが重大な問題点である。爆発的に増え続けている汚染水のタンクや高濃度汚染土の山。除染の技術も開発されないまま、処理施設の建設も受け入れ先も決まらない。アメリカのウィリアム・ぺリー元国防長官に言わせれば、「世界は核兵器や放射能汚染の危険性を分かっていないようだ。人類文明の未来が危機に曝されていることを肝に銘じなければならない」。

 思えば、安倍首相の祖父に当たる岸信介元総理も1964年の東京オリンピックの開催に大きな役割を果たした存在であった。岸にとってはオリンピックの成功は日本の国際社会への復帰に欠かせない条件であったからだ。当初、新幹線の動力源としても原子力が想定されていたほどである。その推進役であった岸元首相が日本の原子力エネルギー開発を経済面で実行しながら、安全保障の面では将来的に核大国化の道を目指したことは忘れられつつある。

 アメリカは太平洋戦争を繰り返さないためにも、日本が石炭や石油に依存しないエネルギーの自立を可能にさせる必要があると考えたようだ。そうした意図を秘め、岸元総理を動かし、原子力発電の導入を後押しした。実は、1964年の東京オリンピックを境に経済再生を果たした日本は、その余勢を駆って、未来のクリーンエネルギー源としての原子力利用へと舵を切ったのである。

 それゆえ、日本はアメリカのGEとウェスティングハウスの原発を次々と導入することになった。GE製の福島原発が稼働したのは1971年のこと。この40年の耐久年数を越えた福島のGE製の原子炉が問題を起こした背景は実に複雑である。GEのエンジニアからは操業中止と廃炉の必要性が既に指摘されていたからだ。地震や津波ばかりが原因とはいえないのである。

※続きは5月26日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第66回「東京オリンピックで開花するか?数々の新技術の芽(後編)」で。


著者:浜田和幸
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