2024年04月23日( 火 )

お客さまのメリットを最優先に「さすが西京」を目指す(前)

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(株)西京銀行 頭取 平岡 英雄 氏

 山口県周南市に本店を構える西京銀行。山口県の第二地銀として、地域に根差した事業を展開している。2010年に頭取に就任した平岡英雄氏は、改革派として活躍している銀行家である。地域の企業のメリットを第一に、西京銀行ならではのサービスを展開していきたいとする平岡頭取に、金融再編への考え、人口減少などの地域経済の問題、変化を続ける金融業界についてうかがった。

(聞き手:弊社代表・児玉 直、弊社顧問・浜崎 裕治)

お客さまのメリットを第一に

 ――まず、近年の金融機関の再編についておうかがいします。九州地区では第一地銀同士や第二地銀まで含めて金融機関の再編が加速しています。山口県や中国地区での金融機関の状況は、いかがですか。

(株)西京銀行 平岡 英雄 頭取

 平岡氏(以下、平岡) 私たちは再編について、安易には考えていません。金融機関が再編すると、金融庁などの行政機関から見れば銀行数が減少するので管理する手間が省けるなどのメリットがあるかと思いますが、規模の小さい中小零細企業のことまではあまり意識はされていないように思います。小さな銀行は、どうしても合併吸収のターゲットになりやすいのですが、その銀行にも取引先となる企業がたくさんあり、地域の経済活動と密接なつながりを持っています。大きな銀行になった場合、これまでのお客さまをこれまで通りにフォローしていけるかという問題が発生しますから、経営統合については考えていない、というのが現状です。

 ――経営統合は誰のためにするのか、という意味ですね。

 平岡 経営統合するということは、銀行サイドから見れば効率化を図るということを意味します。しかしながら、銀行が効率化を進めて、銀行だけが生き残り、地域の企業が生き残れないという状況がもし生まれてしまうとなれば、本末転倒だと思います。私たちの存在意義が問われることになりますからね。

 私たちは、自分たちが生き残るためという経営統合の前に、お客さまが必要としてくれるのかどうかという考え方が先にあると考えています。もし当行が必要ないと判断されているのならば経営統合を含めて考えないといけないと思いますが、必要としていただいているのならば、大きなグループの傘下に入ってやり方を変えるというのは本意ではありません。自分たちの存在意義はお客さまであって、お客さまが求めていらっしゃることに応えるという点にあります。経営統合することでお客さまにメリットがあるのならば考えるべきでしょうが、自分たちのメリットのために考えるというのは、話しが逆のような気がします。

 ――統合の際、最も手間がかかるのがシステムの問題です。経営統合により、お互いが効率的に業務を行うことができる、ということはあります。しかし、そこで問題になるのはシステムですね。共通のオンラインシステムを導入するとなると、経費もかかります。

 平岡 経営統合で最も苦労するのが、システムだろうと思います。信用金庫さまや信用組合さまなど、業態で共同のシステムをお持ちのところはいいですが、銀行はそれぞれ別のシステムを持ち、業務を行ってきました。今のように経営統合が進む状況が想定されていませんでしたから。

 ただ、先に述べたように、統合するためのシステム構築を進めるのは今のところ無意味だろうと考えています。我々クラスで自らのシステムを維持していくのは大変ですが、この分野は技術が日進月歩で進んでいる分野でもあります。今後、もう少しコストをかけずに維持していける時代が来るのではないか、という期待は持っています。

(つづく)
【文・構成:柳 茂嘉】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:平岡 英雄
所在地:山口県周南市平和通1-10-2
設 立:1930年11月
資本金:179億4,000万円
経常収益:(17/3)294億700万円

 

(中)

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