2024年04月16日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~回復の気配、底を打つか中国経済

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 中国経済は底を打つ、回復する芽が見えてきた。中国国家統計局は14日に5月の経済データを発表した。劉愛華報道官は、「5月の国民経済は全体的に安定し、安定のなかで好転する発展状況が持続し、供給と需要が安定的に増加し、雇用情勢が引き続き好転、物価は穏やかに上昇し、企業の収益状況が引き続き改善して、経済構造が最適化を続け、経済発展のバランスと安定性が強まった」と述べた。

 5月の経済データを見ると、経済成長を牽引する「トロイカ」(消費、投資、輸出)のうち、投資の伸びは小幅に鈍化し、輸出の伸びは加速し、消費の伸びは安定していた。国民生活の指標のうち、雇用は引き続き好転し、物価上昇幅は比較的緩やかだった。
 具体的なデータを見ると、1~5月の固定資産投資(農家の投資を含まない)は前年同期比8.6%増加し、増加率は1~4月を0.3ポイント下回った。5月の輸出は同15.5%増加し、前月を1.2ポイント上回った。5月の社会消費財小売総額は同10.7%増加し、前月並みの水準だった。5月の消費者物価指数(CPI)は同1.5%上昇し、前月を0.3ポイント上回った。
 とくに指摘しておかなければならないのは、雇用計画の目標がすでに半分以上達成されたことだ。データを見ると、1~5月には都市部で新たに599万人が就職し、前年同期より22万人多く、年初に政府活動報告で制定された1,100万人のうちすでに54.4%を達成したことがわかる。

 「これから中国経済は底を打つかどうか」という問題について、劉愛華報道官は、「現在の状況についていえば、経済は全体として安定し、安定の中で好転する状態にあり、次の段階でもこうした状態を保つことが可能だ」と指摘した。
 なぜ、このように言えるのか。劉報道官は、「現在の一連の要因と関係があるだけでなく、中国経済の現在の発展段階や中長期的な多くの要因とも関係がある。こうした基本的要因を踏まえてみると、現在の経済成長は良い方向へ前進している状況にある」と述べた。
 劉報道官は、「産業の支援、発展の原動力、発展への信頼感、発展環境、こうした各方面から現在の安定しつつ好転する状態が持続可能であること、各種の支援要因がいずれも増強を続けていることがわかる。私たちには安定しつつ好転する状態をより確固としたものにし、持続させる能力があり、信頼感もあり、条件も整っている」と述べた。

 また、5月の全国消費市場は急速な伸びを示し、実店舗小売の回復が続いている。
 国家統計局がまとめたデータを見ると、5月の社会消費財小売総額は2兆9,500億元(約47兆8,000億円)に達して、前年同期比10.7%増加し、増加率は4月の水準を維持し、前年同期比0.7ポイント上昇した。1~5月の社会消費財小売総額は同10.3%増加し、第1四半期(1~3月)に比べて0.3ポイント上昇した。同部の重点モニタリング対象の小売企業の5月の売上高は同4.9%増加し、年初以来の最高を更新した。

 同責任者は、「5月の全国消費市場には次のような特徴がみられた」として、以下の5点を挙げた。
 (1)インターネットの小売の増加ベースが目立った。(2)実店舗の小売が引き続き回復した。(3)外食、文化、レジャー関連の消費が急速に伸びた。(4)省エネ、スマート関連商品の消費が活発だった。(5)消費価格が引き続き安定的に上昇した。

 中国税関が8日発表した統計データによると、今年5月の中国の輸出入額は2兆3,500億元(約38兆円)に達し、前年同期比18.3%増加となった。うち輸出は1兆3,200億元で同15.6%増加し、輸入は1兆300億元で同22.1%増加した。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2,816億元の黒字で、輸出入の成長率は3.4%減で、4月に比べてやや上昇した。
 中国企業の対外投資も拡大している。国際連合貿易開発会議(UNCTAD)が7日に発表した「2017年世界投資報告」によると、中国の対外投資が急増しており、2016年にはその額が44%増の1,830億ドルに達し、初めて世界第2位の対外投資国になった。また、海外の対中投資を36%上回っている。その他、中国は、最も発展していない49カ国のなかで最大の投資国に踊り出ており、投資額は2位のフランスの3倍になっている。

 今年の1~5月、外資系企業の対中投資も増加している。中国商務部外国投資管理司の責任者は15日、「今年1~5月には、全国で外資系企業1万2,159社が新たに設立され、新規設立数は前年同期比11.9%増加した。実行ベース外資導入額は3,410億8,000万元で同0.7%減少した。5月の外資系企業新規設立数は2,433社で創5.4%減少し、実行ベース外資導入額は546億7,000万元で同3.7%減少した」と説明した。同責任者は、「1~5月の外資導入の状況には以下の特徴がみられた」と指摘し、次のように述べた。
 技術力の高いサービス産業の外資導入額が引き続き増加ペースを維持した。実行ベース外資導入額は486億4,000万元で同20.5%増加した。
 その他の現代型サービス産業の外資導入額の伸びも好調で、交通輸送・倉庫貯蔵・郵政産業は同19.9%増加、情報伝送・コンピューター関連サービス・ソフトウェア産業は同16.8%増加、リース・ビジネスサービス産業は同32.7%増加、科学研究・技術サービス・地質調査産業は同26.1%増加した。

 秋の中国共産党第19回全国大会を控えて、中国経済は良い方向に向かっているのは間違いないといえるだろう。


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