2024年04月20日( 土 )

絶望の選挙結果から希望の石を切り出す

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。22日投開票が行われた総選挙の結果を受け、あらためて「反自公勢力」の結集に希望をかける10月23日付の記事を紹介する。


安倍政権の政治私物化、もりかけ疑惑隠しの是非を問う選挙であったが、結果は安倍自公勢力が衆議院議席の3分の2を維持するかたちで着地してしまった。
原因は反安倍政治勢力の結集が望ましいかたちで進まなかったことにある。その根源的な原因は、民進党が代表戦を実施した段階で党の分離・分割を行わなかったことにある。
これまでの野党共闘に対して主権者が賛同できなかった理由は、民進党が「隠れ自公」と「反自公」の混合物であったことにある。市民連合などが推進してきた野党共闘もこの問題には目をつぶっていた。
政策を基軸とはせずに、単なる数合わせで事態を打開しようとしていた部分に最大の問題があったのだ。

民進党の代表戦の段階で、民進党を「隠れ自公勢力」と「反自公勢力」に分離・分割し、その上で「反自公勢力」として純化された政党が他の反自公勢力と強固な共闘体制を構築して「反安倍政権連合」を構築して総選挙に望むべきであったと言える。
しかし、民進党代表戦の段階ではこの決断が下されなかった。代表戦に前原誠司氏が勝利して、民進党の純化=分離・分割が実現しなかったのである。
結果として枝野新党が創設されたが、本来は、民進党代表戦の段階で実行するべき行動だった。
これが前倒しされていれば、野党共闘体制をもう少し強固に確立できたはずだ。民進党の分離・分割が進まぬなかで、民進党の新体制発足がつまづき、この間隙を縫って解散総選挙が強行された。

民進党の分離・分割ができぬまま、解散総選挙に突入する情勢になった。
主権者にとっての第一の課題は、安倍政治の継続を許さないことであった。
このことを最優先する必要性から、窮余の一策として、反安倍政治の「呉越同舟結集」を図ることは現実的な対応としてはあり得るシナリオであった。小池国政新党が創設され、民進党がこれまでの政策主張を維持したまま、「安倍政治打倒」の一点だけを基軸に「呉越同舟大連帯」を形成したのなら、安倍政治打倒が実現した可能性は高い。

ところが、民進党の前原誠司氏は、民進党のこれまでの政策主張、野党共闘の合意を、一切の民主的な手続きを踏まず、論議もせず、党内合意を形成することもなく、独断専行で廃棄して、民進党全体を完全な「自公補完勢力」に転向する行動を取った。小池百合子氏はもともとこの方向を示唆していたと考えられ、党内の論議をまったく行わずに、この方向に前原誠司氏が突き進んだために、すべてが崩壊した。

前原誠司氏の責任は重大であり、直ちに前原氏は民進党代表を辞任するべきである。
ただし、この万死に値する行動の副産物として、民進党の分離・分割が実現し、初めて本当の意味の野党共闘体制が確立され、立憲民主党の多数議席確保が実現した。

本来は、民進党代表戦の段階で実行されるべきことであり、それが遅れたために成果は限定されたものになったが、ようやく、あるべき野党共闘の姿が生み出されたのだと言える。

※続きは10月23日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1877号「絶望の選挙結果から希望の石を切り出す」で。


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