2024年04月23日( 火 )

楠田大蔵・太宰府新市長「融和を図り、不要な対立は求めない」(後)

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 前市長に対する辞職勧告、不信任決議、議会の解散・選挙、市長失職と大混乱に陥った太宰府市政。1月28日執行の市長選挙では、太宰府市を含む福岡5区に地盤をもつ元衆議院議員・楠田大蔵氏が初当選。市民が選んだのは、これまでの混乱の当事者ではなかった。新市長になった楠田氏は、民意をどのように受け止めているのだろうか。楠田氏は単独インタビューに応じた。

(聞き手:道山 憲一)

現場主義を貫く

 ――朝倉市や東峰村など九州北部豪雨の被災地復旧ボランティアに参加されていた現場主義の姿勢も、有権者に評価されたのではないでしょうか。

 楠田 自治体運営は現場が大切だと思います。地方自治体は市民にとって最も近い立場です。私の現場主義に関心をもって演説を聞いていただいた方が「楠田に託せるかもしれない」と思っていただき、口コミで広がったかもしれません。

 選挙カーに乗っていても、市民の方々の反応に手応えがありました。皆さまの期待はひしひしと感じていましたし、勝敗まではわかりませんでしたが、決して悪い戦いにならないだろうと思っていました。

まずは融和を図る

 ――太宰府市が発展するための公約をいくつか掲げていましたが、どうやって実現していくか、優先順位も含めてお聞かせください。

初登庁した楠田市長

 楠田 そうですね。副市長、教育長も不在というまさに非常事態となっていましたが、すぐに予算組みにかからないといけません。市民の皆さまの声を聴いてまわる『市長と語る会』などを予算化するなど独自性を出していきたいと思います。

 『市長と語る会』については、給食問題を始め、いろいろな課題について話を聞くという姿勢をわかりやすく示し、“じっくりと声を聴く場”として活用していきます。

 所信表明演説で、学校給食問題についても触れましたが、この問題については決して拙速であってはいけません。私は、選挙で市民の皆さまの支持をいただきましたが、市役所では、まず、職員の皆さまとの融和を図っていくところから始めたいと思います。

 ――「融和」といわれましたが、議会についてはどうでしょうか。

 楠田 議会もまた、市長と同じ市民の皆さまの代表です。私がいくら威勢のいいことをいっても、きれいごとをいっても、人事にしたって予算にしたって、議会の同意を得られないといけません。そのためには独自性をもちつつも市民の皆さまの意見を聞いていきます。私は、頭ごなしに「こうしなければいけない」「ああしなければいけない」「あなたたちの考えは間違いだ」などとは一切言いません。それは、初登庁したときの最初の訓示でも申し上げましたし、説明もいたしました。「過去のことは水に流す」というスタンスで、太宰府市民のために未来を見て、皆さまと一緒に頑張っていく所存です。

 ――市政の立て直しのために、どのように取り組みますか。

 楠田 まず、政治家として対立しすぎないことを心がけていきます。さまざまな議論を交わすことは当然のことですが、あまりに対立してしまうと、しこりがのこって以前の関係に戻れなくなる可能性があります。15年間の政治活動で、ライバルと戦うなか、緊張感のある駆け引きを含め、そのあたりはわきまえていました。市政の混乱を早急に終息させるべく、全力を尽くします。

(了)
【文・構成:山下 康太】

 
(前)

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