2024年04月25日( 木 )

幸楽苑HD 18年3月期 赤字転落~指入りラーメン事件の影響

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 ラーメン店「幸楽苑」をチェーン展開する(株)幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)の2018年3月期の連結決算は、売上が伸び悩むなか、原材料の上昇や販管費が増加したことで営業損益段階から赤字を計上。さらに、不採算店舗などの減損損失28億3,833万円を計上したことで当期純損益が32億2,531万円の赤字となった。

 同社が11日に発表した決算短信によると、同期の連結業績は、売上高385億7,692万円(前期比2.0%増)、営業損失7,211万円(前期1億4,717万円の営業利益)、経常損失1億1,483万円(同3億3,057万円の経常利益)、当期純損失32億2,531万円(同1億5,449万円)。「食の安全・安心に関する問題の影響や天候不順などにより、厳しい状況で推移」(同社)と、16年9月の『指入りラーメン事件』による客離れの影響が示唆されていた。

 『指入りラーメン事件』は、静岡市清水区の「幸楽苑 静岡清水インター店」で発生。チャーシューの仕込み作業中、従業員が誤って切断した左手親指の先端部分が、客に出されたラーメンのスープのなかで見つかったというもの。当初、保健所への報告書で「爪の一部」とし、指摘を受けて訂正していたにも関わらず、その後、同社HPで再び「爪の一部が混入」と表記したおわび文を掲載。一連の問題対応で企業イメージを悪くした。

 事件後の17年3月期下半期は、国内の直営店全店の客数が前期比96.4%。18年3月期は、年間累計の客数が前期比100.9%と、いまだダメージから回復していない状況がうかがえる。「27.7%」という低い粗利益率も、人件費やエネルギーコストなど販管費が増加するなかでの経営に暗い影を落とす。

 同社は、業績不振および最終損失計上で期末配当が無配となったことの経営責任を明確にするため、半年間、役員報酬を、代表取締役で100%減額、そのほかの取締役(社外取締役を除く)で30%減額すると発表。社会的信用の回復を含め、今後、どのように立て直しを図っていくのかが注目される。

【山下 康太】

 

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