2024年04月20日( 土 )

ECOと向き合って20年~信頼を基に省エネから創エネまで提供(後)

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(株) 堀内電気

太陽光発電事業の蓄積を生かして

 20年以上取り組んできた電気工事や太陽光発電事業で培ったノウハウを応用した、さまざまな取り組みにも注目したい。

 17年7月、同社は小型・中型船舶向けの太陽光発電・蓄電システムの販売・施工の受付を開始した。重量18tのサロンクルーザーを使った試験運転では、8枚の太陽光発電モジュールと鉛蓄電池、リチウムイオン電池、パワーコンディショナーを組み合わせ、太陽光発電が1・25kw、2種類の蓄電池が計15kw時の発電容量で、最大30アンペア程度の電流を確保した。これにより、船内のエアコンや冷蔵庫、オーディオ、照明などの消費電力をカバーできるようになった。この船舶用太陽光発電・蓄電システム「ECO for SHIP」は特許出願中であるのに加え、17年11月には福岡県の経営革新計画の認証も取得している。経営革新計画とは新事業を通じて申請して経営革新に取り組む企業を支援する施策。今回、認証を受けたことで政府系の金融機関からの低金利融資や特許関係料金の減免などの支援を受けることができるようになった。太陽光の新たな用途開発として大手船舶メーカーなども高い関心を寄せており、今後はマリーナや九州船舶工業会とも連携しながら、プレジャーボートを中心に新市場の開拓に力を入れていく。

 また、平時は太陽光発電による電力だけで作ったCO2フリー水素を燃料電池車に供給し、非常時には貯蔵した水素を使って発電した電力を供給するソーラー水素ステーションも導入予定だという。新たな取り組み以外にも注目されるのが同社がメインスポンサーを務めるエアーマット式スノーボード・スキージャンプ施設の福岡キングス(福岡県飯塚市)だ。「HEC CUP」などの大会を主催し、次世代の選手育成の一翼を担っている。また、18年を稼働予定として同施設周辺にはメガソーラーを設置。常に未来を見据えた取り組みを行っている。

規模を追わない方針で無理のない職場環境をつくる

 17年6月には本社を福岡市博多区浦田に移転し、現在は大野城、大隈、出水、長崎営業所と拠点が増加するとともに、社員数も増えた。「人材不足で悩んでいる」という企業も多いが、同社は違った。「学校の方から指定してきてくれるんですよ。そこで採用してそのまま長く働いてくれる方が多いです。何かしらの事情があって辞める方はいますが、職場環境が悪いから辞めるという方はほとんどいません。また、資格手当てもありますので、頑張れば頑張った分だけ給与にも反映しています。規模を追うのではなく企業価値を高めて社員が自信をもって働ける環境づくりを心がけています」と堀内社長は笑顔で語る。

 取材中、顧客からの電話がたびたびかかってきたが、いずれも迅速かつ丁寧な対応で誠実な人柄が垣間見えた。新たな取り組みへの先見の明と、こうした顧客目線の対応が自然と社員たちにも息づいているように思える。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:堀内 重夫
所在地:福岡市博多区浦田1-5-46
設 立:1997年4月
資本金:4,000万円
TEL:092-513-3377
URL:http://www.horiuchi-e.co.jp

<プロフィール>
内 重夫(ほりうち・しげお)
 1958年12月生まれ、福岡県大野城市出身。筑紫工業高等学校(現・筑紫台高等学校)を卒業後、地元の電気工会社に就職。86年に堀内電気工事店を創業。97年には(株)堀内電気に法人化。2017年5月から福岡電気工事業(協)の副理事長を務める。趣味は釣り、ゴルフ。

 
(前)

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