2024年04月26日( 金 )

4,000億円挑戦企業・九電工~株価高騰の悲喜こもごも(2)

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受注・売上・利益、すべて過去最高更新

 2015年1月に公表した15~19年度(5カ年)の中期経営計画における数値目標を、16年4月にそうそうと上方修正した(株)九電工。最終年度の20年3月期では、売上高4,000億円、売上総利益率15.0%以上、営業利益率9.0%以上、ROE(自己資本当期純利益率)14.0%以上に設定した。すでに、売上高以外の数値は目標を超えており、すべての目標達成は現実味を帯び始めている。

 18年3月期で同社は、受注・売上高、各利益項目で過去最高を更新。受注高3,847億5,700万円(前期比1.8%増)、売上高3,608億7,200万円(同5.6%増)、営業利益347億2,600万円(同13.0%増)、経常利益373億4,200万円(同16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益252億9,600万円(同13.4%)を計上。売上高は2期連続の増収だが、利益面では、営業利益、経常利益、当期純利益で6期連続の増益となった。

 注目すべきは収益面。13年4月に技術管理部を設置し、徹底して行ってきた収益性向上の取り組みが成果を結んだ。13年3月期に2.4%であった営業利益率は、18年3月期で9.6%となっており、すでに中期経営計画の目標を超えた。同期においては、売上総利益率15.7%、ROE16.8%も目標数値を超えている。

 同社の主要事業である設備工事業では、売上高3,464億300万円(同5.3%増)、営業利益144億6,800万円(同12.5%)を計上。部門別で見ていくと、電気工事が前期比11.2%増の売上高1,534億4,700万円、空調衛生工事が前期比7.4%増の売上高1,011億6,400万円と伸ばす一方、太陽光発電工事は前期比8.6%減の売上高451億5,700万円と減少。ただし、前述の中期経営計画では、太陽光発電関連工事の減少は織り込み済みで、同社は「想定から100億円程度超過」としている。

 太陽光発電関連工事で減少した分の穴埋め的に力を入れている、首都圏を中心とした関東・東北・中京地区における受注・売上の状況は引き続き好調。電気工事および空調衛生工事を地域別で見ると、同地区は、前期比13.6%増の売上高438億6,200億円を計上。受注高でも前期比10.6%増の629億7,400万円となっている。風力発電所や福岡空港などの超大型案件が剥落し、ほぼ横ばいとなった九州地区の受注状況をカバーするかたちとなった。

 太陽光発電工事の受注状況は、九州、関東・東北・中京、関西・中国のそれぞれで減少。ただし、同社受注の案件は大型化しており、施工期間の長期化によって手持工事高は増加している。

 18年3月期末における主な受注案件(手持工事)では、日本最大級のバスターミナルを有する複合施設をつくる熊本市中心市街地の桜町再開発、地上35階建て、高さ149.9mの超高層複合ビル「(仮称)ヨドバシ梅田タワー」や、地上13階建てとなる鹿児島銀行の新本店ビルなど、各地区の新たなランドマークとなる案件にも携わっている。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:西村 松次ほか2名
所在地:福岡市南区那の川1-23-35
設 立:1944年12月
資本金:125億5,506万円
売上高:(18/3連結)3,608億7,200万円

 
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