2024年04月19日( 金 )

【特報】鳩山二郎衆院議員の秘書が「錬金術」に奔走するワケ~「鳩山家の子ども手当」が転機

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疑惑まみれの秘書、小澤洋介氏

 今年1月、現役の衆院議員秘書が架空の宝石売買をめぐって国税庁幹部を議員会館に呼びつけ、圧力をかけていたことが報じられた。秘書の名は小澤洋介氏、仕えるのは政界きっての名門鳩山家の直系、鳩山二郎衆院議員(自民党/福岡6区)だ。鳩山議員は父親の邦夫氏の死去で地盤を継いだ後、2016年に赤絨毯を踏んでいた。小澤氏は邦男氏の代に鳩山事務所に入り、主に集金能力に秀でた秘書として事務所内の地位を固めていった。

 データ・マックスではこれまで小澤氏の疑惑について報じてきたが、今回浮上したのは、小澤氏が宝石の架空売買だけでなく金塊密輸に手を染めていた疑惑だ。

(参考記事)
【徹底追及】国会議員秘書と金塊密輸犯を結ぶ、点と線(前)
自民・鳩山二郎議員 「秘書辞任」は真っ赤なウソ~疑惑の秘書が「辞任はフリ」明言

闇のビジネスモデルと広域暴力団

▲誕生パーティーではしゃぐ小澤氏
 (Facebookより)

 小澤氏は近年、知人や鳩山事務所の関係者に対して「金塊ビジネス」への参加を熱心にもち掛けていた。消費税のかからない香港で金塊を購入して密輸入し、「日本で売りさばけば消費税分8%が利益になる」というセールストークで投資をもちかけていたという。運び屋を使うなどして関税を潜り抜ければ消費税分がそっくり懐に入るため、「闇のビジネスモデル」として知られるようになった手法だ。

 小澤氏の金塊密輸疑惑については、「裏社会」との関わりを示唆するような動きもある。今年6月に小澤氏が関係する宝石の架空売買について報じた直後、特別取材班宛に香港から告発文が送られてきたのだ。告発文には、金塊密輸に関わっているとされる中国系の名前をもつ人物が3人、生年月日や住所とともに記されており、密輸の拠点として都内のある場所まで特定していた。

 小澤氏は宝石架空売買で主導的役割をはたしたことがわかっており、金塊密輸ビジネスも小澤氏の「錬金術」だった可能性がある。不正に集められた資金の一部が政治資金として鳩山事務所に入っている可能性もあり、その過程では広域暴力団幹部とみられる人物が関与している疑惑も濃厚になっている。

 小澤氏がここまで「錬金術」にこだわる背景には、「カネを集められる人間だけが、力をもつようになった」(事務所関係者)という、鳩山事務所の事情がある。転機は、2009年に明らかになった「鳩山家の『子ども手当』」事件だ。
 故・邦男氏と兄の鳩山由紀夫元首相が母親から、資金管理団体の収支報告書には記載されていない寄付を毎月1,500万円受け取っていたことがわかった事件で、少なくとも22億円が兄弟に渡ったとみられている。

 この違法寄付がわかって以降、鳩山事務所の懐事情は目に見えて悪化しており、いつしか「カネをもってくる者が偉い」という風潮が蔓延するようになっていったという。

 こうした状況について、いまや鳩山家の「女帝」として君臨するエミリー氏(故・鳩山邦夫氏の妻)はどう受け止めているのか。エミリー氏は、取材班の電話取材に対して「この電話番号をどこで知ったんですか?(関係者から入手した、と伝えると)それは違法行為でしょ!」とヒステリックに大声でわめき続けた挙句に、突然電話を切っている。

▲香港から届いた告発文書

【特別取材班】

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