2024年04月20日( 土 )

お人好しの福岡県議会議員、怪しい儲け話で次々と大損!(後)

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「赤珊瑚転売計画」で3,000万円

※画像はイメージ

 T社のCが、松尾氏にもちかけたのは、映画とはまったく関係のない話だった。「赤珊瑚の彫刻を日本において2億円で買い付け、海外のオークションに出品して、多額の売買益を得るという計画」だ。

 裁判資料によると、Cは、14年1月ごろ、松尾氏に、この計画で5,000万円の利益が出ると話し、「買い付ける資金の当てはあるが、その人にまず400万円を返さないと買い付け資金を出してもらえない」などとして、400万円の資金提供を依頼。松尾氏は、同月23日の数日前に400万円をCに渡した。

 さらに、Cは、赤珊瑚の彫刻を海外のオークションに出品するために必要として、1,200万円の資金提供を松尾氏に依頼。同月23日、松尾氏は、1,200万円をCに渡すとともに、両者の間で計1,600万円の借用書を作成。そこには、14年2月28日を返済期限とし、5,000万円として返すことや、万が一返せなかった場合、T社の版権2億円分を保証するとされていた。

 ところが、Cは、結局、赤珊瑚の彫刻の買い付け資金を用意することができず、月日が経過。さらに14年12月24日、松尾氏はT社に対して400万円を貸し付け、15年1月15日を弁済期日として450万円を現金返済する契約を結んだ。この時点でも、松尾氏は、まだCの「赤珊瑚転売計画」を信じていたようだ。買い付け資金を集めるため、協力者を探したことがトラブルの拡大につながっていく。

反論は「日本語がわからない」

 松尾氏は別の知人を通して知り合ったDを15年3月頃、Cに紹介し、「赤珊瑚転売計画」実現への協力を求めた。以来、Dは、Cとともに動いていたが、そのなかでCから相談を受けた1,000万円の資金工面を松尾氏に依頼した。

 15年5月14日、松尾氏は、Dを連帯保証人として、T社に対して1,000万円を融資。3カ月後の15年8月13日を返済期限とし、利息は年20%、遅延損害金を年40%とする「金銭消費貸借契約書」を作成した。また、「赤珊瑚転売計画」の完結などを約束する「覚書」を作成していた。なお、Dは、その後、利息金として33万3,334円を松尾氏に支払っている。

 T社・Cがもちかけた「赤珊瑚転売計画」に松尾氏が投じた金額は合計3,000万円。結局、計画は実現されず、松尾氏は、T社、C、Dに貸金返還などを求めて福岡地裁に提訴。Cからは、一連の金のやりとりに関する契約書類などについて、「日本語を読むことができず、また、その意味を理解することができなかった」などの反論があったが認められず、松尾氏の一方的な勝訴となった。

県政のチェック能力に疑問

 勝訴とはなったものの、そもそもT社・Cが、最初から松尾氏から大金を騙し取る目的の詐欺師であれば、金が返ってくる見込みは薄い。活動実態がわからず、所在も不明という状況からして、T社自体が松尾氏を信用させるためにつくられた『虚構』だった可能性が高い。

 松尾氏から1億円をもち去り、音信不通となったHJP社といい、胡散臭い中国人の「赤珊瑚転売計画」といい、正直、誰もがダマされるような話とは思い難い。地元の名士の家柄に生まれ、大金をもっていたのが災いしたのか、気の緩みがあったことは間違いないだろう。その松尾氏に、県議会議員として、福岡県民約505万人の生活を預かる県政へのチェック能力があるのだろうか。大金を失うトラブルに遭い、政務活動が疎かになっているということはないだろうか。

 松尾氏は、2011年4月の福岡県議選に初当選し、現在2期目。福岡県議会では現在、警察委員会の委員長を務めている。大金を失ったトラブルの影響が、県議としての活動におよぼしていることはないか。NetIB-NEWS取材班は、松尾氏の政治資金および政務活動費について精査を行っている。

(了)
【特別取材班】

(前)

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