2024年04月19日( 金 )

現場の声を聞け!「障がい者雇用」水増し問題を考える(1)

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 障がい者雇用を促進する側にある、中央省庁の障がい者雇用水増し問題。8月28日、厚生労働省が公表した調査結果では約8割の中央省庁で「水増し」などが確認された。障がい者支援の名の下、なぜ平然と偽りの数がカウントされていたのか。この問題に対する現場の声を拾った。いずれも福岡県内で障がい者の就労支援を行う方々の声である。

日常業務で感じること

 障がい者雇用について、行政機関は「詳しい線引きがわからなかった」や「手帳が必要とは思わなかった」と言い訳めいた回答をしているが、そもそも障がい者雇用をどう考えているのか?とても「行政が率先して、雇用する」という姿勢には思えない。理解のなさは民間企業以下だと感じる。

 「障害者優先調達推進法」では障がい者就労施設で就労する障がい者や在宅で就業する障がい者の経済面の自立を促すため、国や地方公共団体、独立行政法人などの公的機関が、物品やサービスを調達する際、障がい者就労施設などから優先的・積極的に購入することを推進している。しかし先日、自治体に我々が障がい者就労支援事業所として弁当の販売をお願いしたところ、否定的、かつ非協力的な扱いを受けた。今回の問題につながる事例だと思う。

素朴な疑問

 今後、行政は3,000名以上の障がい者を雇用するにあたって、現職職員の解雇をするのだろうか?もし、しないのならば人手が足りているのに、無駄に雇用することになり、人件費を税金から捻出することになる。現職職員や契約社員を減らして、障がい者雇用を行うならわかる。では一般雇用者を解雇して、障がい者雇用を増やすのか?当面、人の入れ替わりの際に新入社員として障がい者を中心に雇用するのか。疑問だらけだ。

今後考えられる事

 今回3,000名以上の障がい者雇用不足が判明した。政府は早急に対応するとしているが、障がい者の特徴などよく分からず雇用してしまい、結局「雑務」の仕事中心になる。障がい者本人は仕事のやりがいがなく、退職。結果、一時的な数合わせになると予想している。今後も本当の意味での、障がい者雇用はできないだろう。行政担当者の「だから障がい者雇用は大変なんだよ」と呟く姿が目に浮かぶ。

(つづく)
【東城 洋平】

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