2024年04月25日( 木 )

浜松町×竹芝×芝浦の回遊性が強化 新たに生まれるウォーターフロントのランドマーク(前)

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陸海空の玄関口「浜松町」が大きく変わる

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 都心とはJRで、伊豆などには東京湾の旅客ターミナルで、羽田空港とはモノレールでといったように、陸・海・空の交通結節点となっている「浜松町」エリア。山手線や京浜東北線がつながる浜松町駅や、都営地下鉄・大江戸線、浅草線の大門駅もあって交通の便が良く、とくに羽田空港を利用したことがある人にとって、「浜松町」はよく知られた駅名だろう。

 しかし、浜松町駅の東側はオフィスビルがいくつか建っているものの、人通りも少なく、旧芝離宮恩賜庭園および北側の浜離宮恩賜庭園を除けば目立った施設もない。駅西側は世界貿易センタービルや飲食店も多く賑わっているほか、さらに西に進めば芝公園、増上寺などの観光スポットも散在し、外国人旅行者も多いエリアだ。

 この浜松町エリアが、大きく変わろうとしている。5月には、都営三田線・御成門駅出入口が併設された住友不動産御成門タワー(地上22階・地下2階建)が完成。かつては現・パナソニックの東京本社として使われていたビルを、住友不動産が建て替えた。建替えにより延床面積は1.6倍になり、中間免震構造や自律分散型エネルギー供給システムなどのほか、カンファレンスホールも備え、完成時に満床となった。さらに、その南東では339室の客室を備える「京王プレッソイン浜松町」(地上14階・地下1階建)が昨年11月に完成、12月に開業した。ビジネス、観光の拠点としての利用を狙ったものだ。

▲住友不動産御成門タワー

 

▲京王プレッソイン浜松町

 

【浜松町エリア】世界貿易センタービル建替えへ

 現在、浜松町駅西側で計画されている大型物件は、浜松町のランドマークである世界貿易センタービルディングの建替え(A街区)、日本生命浜松町クレアタワー(以下、クレアタワー、B街区)およびその南側(C街区)を含む「浜松町二丁目4地区」を中心に、北側では「パークコート浜離宮 ザ タワー」の建設が進んでいる。「浜離宮 ザ タワー」は地上37階、地下1階、高さ132m(最高約140m)、総戸数563戸の超高層マンションで売主は三井不動産レジデンシャル、施工は清水建設が手がける。 2019年7月下旬に竣工し、同9月下旬に入居が始まる予定だが、すでに全戸完売している。

 最も注目される「浜松町二丁目4地区A街区」は、世界貿易センタービルを含む本館と南館で構成される。A街区で開発される2棟のビルの敷地面積は2万1,007m2、延床面積は28万7,985m2、本館は高さ200mの超高層ビルとなる。すでに南館は着工されており、南館は21年1月、世界貿易センタービルは20年に解体工事が着工され、街区全体では27年末の開業を予定している。

 世界貿易センタービルは、1970年に完成した超高層ビル。地上40階・地下3階建、高さ152mの同ビルは、当時日本一の高さを誇った。現存の建物自体に老朽化などの問題はないようだが、「交通結節機能の強化」「多様な機能の導入による拠点性の向上」「防災機能の強化・環境負荷低減」を整備方針に掲げ、JR・モノレール両駅の改良と、歩行者広場、東西自由通路、歩行者デッキネットワークを整備するほか、乗り換え動線の強化として、JR・モノレールと地下鉄をつなぐ縦動線(ステーションコア)が整備される。

 東京モノレール浜松町駅の建替えやバスターミナルの再整備などによる浜松町駅周辺の交通結節機能の強化が図られ、タクシープール、駐車場と荷さばき場、バイク専用駐車場が整備される。拠点性の向上としては、国際コンベンションホールや浜松町MICEセンターが整備されるほか、外国人滞在者支援機能の導入と、交通・観光サポート機能の導入が行われる。交防災機能の強化では、高効率な自立・分散型エネルギーシステムが導入される。152mの超高層ビル解体は、過去最大となる。

▲浜離宮ザ タワー

 

▲浜松町駅
(左は世界貿易センタービル)

 

満床で完成迎えたクレアタワー

 地上29階、地下3階建、高さ156mを誇る「日本生命浜松町クレアタワー」は8月に完成。27日に竣工式が執り行われる。オフィス階のワンフロアの面積は約2,600m2で、資生堂の子会社・資生堂ジャパンが複数フロア入居するほか、日本生命やアイリスオーヤマが入居予定で、すでに満床。11月に住友芝大門ビルから東京オフィスを移転し、東京本社に改めるシノケングループは、「これまで4フロアに分かれていたオフィスを集約することで効率も良くなる。東京本社は営業部門の拠点として強化する」と移転の理由を話す。なお、登記上の本店は福岡市(アクロス福岡)から変更しない。

▲日本生命浜松町クレアタワー
 (手前は大門駅入り口)

 クレアタワー南側のC街区では、約400戸の住宅をメインに、事務所や文化芸術ホールなどが入る延床面積8万m2の超高層複合ビルが建設されている。A~C街区の西側や南側には老朽化した狭小建物が並んでおり、防災面での課題を抱えていた。広場も不足し、災害時の地域活動の場としての機能確保も必要とされていた。

 このような課題を踏まえて、A・B街区と連携し機能補完を図りながら、市街地再開発事業により、都市に潤いとにぎわいをもたらす多様な機能の導入と、駅と周辺市街地をつなぐ結節点となる安全で快適なまちづくりを目指して、本事業は開始された。公園やデッキレベルでの広場が合計1,400m2整備されるほか、歩行者専用通路も整備される。C街区は19年6月の権利変換計画認可公告、7月の既存建物の解体着工を目指す。本体工事は敷地内にある都交通局の変電所施設の建替えと、再開発ビルの建設を2段階で実施。26年3月の完成を目指す。

(つづく)
【永上 隼人】

(後)

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