2024年04月19日( 金 )

論文形式の実地試験をクリアするには

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▲坂口 智美 社長

 建築・土木・電気の1・2級施工管理技士の学科試験に合格された方、また、今年実地試験(論文形式)に再チャレンジされる方、あるいはこれから2級の学科試験と同時に実地試験を受験される方は、いよいよ10月の実地試験に向けて本格的に勉強を始めていることでしょう。年に1度の試験だからこそ、確実に合格したいものです。しかし、いざ勉強を始めようとすると、何から始めればいいのか、悩みますよね。試験は、しっかりとポイントさえつかんでおければ合格できます。そこで初めに理解してもらいたいのは、論文形式の記述問題の採点には、試験官の裁量も入るということです。今回は、実地試験における注意点について、3つほど挙げてみましょう。

 (1)記述文字は、誤字・脱字・読めない癖字などは減点対象になります。そのため、記述練習のときから、きちんと丁寧に書く習慣を身に付けましょう。練習だからといって、走り書きや自分にしか読めない字などで練習していると、本試験のときも同じように書いてしまいがちです。自分ではしっかりと書いたつもりでも、合格発表時に「番号がない!」ということになりかねません。

 (2)点数の高い経験記述は、とくに重要です。経験記述で点数を落としてしまうと、合格はできません。とくに力を入れて練習しましょう。まず初めに過去の出題問題を使って、具体的な内容になるように練習しましょう。具体的とは、数値や種類を入れたりして、第三者が背景など含めてイメージできる内容で書くことです。たとえば、(建築)「品質目標:型枠の精度管理、実施内容:打設前にピアノ線を張り通り確認し、倒れは下げ振りにより±2mm以内を確認してチェックリストに記録した」などです。工事の規模は関係なく、経験に合わせて具体的に表現できれば、とくに問題はありません。ただし、1級を受験される方はそれなりの経験をされていますので、できる限り、経験上規模の大きな工事を選ぶ方が良いでしょう。

 (3)一般記述は、建築・電気工事はすべて解答になるため選択はありませんが、土木は選択があります。ですが、問題をすべて解けなければ合格できないということではありません。さまざまな分野の工事をされている方が受けるため、どの分野の方でも合格できるようになっています。まずは自分の得意分野を重点的に勉強し、あとは理解できそうな箇所を選んで勉強すればいいでしょう。

 参考書の文章は、あくまでも参考例です。そのまま書いても合格はできませんので、きちんと理解したうえで、自分の言葉で書くことが大事です。また、独学で勉強されている方は、自己採点だけでなく、一度経験豊富な人に読んでもらうことをお薦めします。客観的に判断してもらったうえで、積極的に意見を聞いたほうが良いでしょう。

<プロフィール>
坂口 智美(さかぐち・ともみ)

(株)建設技術者養成センター 代表取締役
1972年生まれ、福岡県出身。学卒後、建設業界へ。建設従事者からの「国家資格は、独学ではなかなか合格できない」という声がきっかけとなり、2001年に工事監理技術者養成センターを大阪で設立。主に出張講習を全国展開し、14年には拠点を福岡(本社)と沖縄(営業所)に移し、社名を(株)建設技術者養成センターに変更。同センターは、生講義で行うことにこだわり、受講生の合格率は90%を超える。

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