2024年03月29日( 金 )

明治、武蔵野赤十字病院と共同で「食品の飲み込みやすさ」を初めて指標化

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 (株)明治(本社:東京都中央区、松田克也社長)は10日、武蔵野赤十字病院(泉並木院長)と共同で、口腔(こうくう)から咽頭の「摩擦と潤滑(トライボロジー特性)」を考慮した新しい計測装置「F-bology Analyzer」を開発、食品の計測値(物理量)と実際に飲み込んだときの官能評価値との間に相関を確認したと発表した。

 開発された「F-bology Analyzer」は、各種センサーと高速度カメラを用いて、模擬粘膜シート上に流した流動性を有する食品の「広がり度合い」「流れる速さ」「厚み」など、さまざまな動的特性を計測することができる。模擬シートの表面性状は、口腔や咽頭の摩擦や潤滑度(乾燥度)に応じて可変が可能で、「口が渇いた状態」も再現できる。

 同社によれば、食品は咀嚼から嚥下に至る過程で、粉砕され唾液と混和されて物性が変わるといい、刻一刻と変化する食品の物性は、口腔から咽頭の粘膜で知覚され感覚情報として大脳に伝えられているという。食品の飲み込みやすさには、食品の物性だけでなく、口腔から咽頭のトライボロジー特性が関係しているとされているものの、これまで嚥下時のトライボロジー特性を考慮した食品物性の計測装置は開発されてなく、トライボロジー特性を考慮した食品の計測値(物理量)と官能評価値との関係を明らかにした研究はなかった。

 実際にドリンクヨーグルト嚥下時の官能評価値を、F-bology Analyzerの計測値(物理量)と比較したところ、「広がり度合い」「流れる速さ」「厚み」について、F-bology Analyzerの計測値と相関する傾向が見られ、飲み込みやすさについての新しい評価指標となり得ることが示唆された。この研究成果は9月8日〜9日に開催された「第24回日本摂食嚥下リハビリテーション学会」で発表された。

 同社は、独自開発した装置を活用して、飲みやすい食感、心地よい食感などを評価するための新しい指標(物理量)を提案するとともに、より価値が高い食品の設計と開発、またさまざまな食シーンや個々のお客さまに合わせたテーラーメイド食品の開発を実現したいとしている。

関連記事