2024年04月20日( 土 )

安倍政治の終わりの始まり意味する自民党党首選

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は20日の自民党総裁選で明らかになった勢いに翳りがみえる安倍政権について言及した9月21日付の記事を紹介する。


 大資本はその資本力によってメディアを支配している。市民は自分でものごとを判断しているように錯覚するが、その判断は、ほとんど場合、メディアの情報誘導によって形成されたものである。
また、政治について、私たちは選挙の投票によって自分たちでものごとを決めているように錯覚するが、実際にはその選ばれた代表たちが大資本の資金力によって動かされている。
結局のところ、すべてが巨大資本の資金力によってコントロールされてしまっているのである。この巨大なメカニズムを正確に理解し、把握することが重要である。
そのうえで、そのメカニズムの是非を市民の目で再評価し、是正を図ることが重要なのだ。この意味での「知られざる真実」を知ることが極めて大切だ。

安倍政治をメディアの情報誘導に乗せられて支持してしまうことは、市民が自分で自分の首を絞めることに等しいと言える。自民党の党首選が実施されて安倍晋三氏が3選を果たした。安倍政治が当面は残存することが決まった。
しかし、自民党内部においてさえ、安倍支持に著しい翳りが生じていることが明らかになった意味は大きい。安倍首相は党首選に際して、権力を笠に着た見苦しい締め付けを展開した。
党首であり首相である安倍氏は強大な人事権を有している。この人事権に影響を受けて国会議員の多数が安倍氏に投票したが、それでも事前の見通しと比較すると、安倍氏は得票を大幅に減らした。他方、直接的な人事権の影響が少ない党員票では投票結果は55対45の僅差になった。
安倍陣営の国会議員が党員に強く働きかけたにもかかわらず、石破氏を支持する党員票は安倍票に肉薄したのである。
選挙結果に大きな影響を与えたのは、石破氏が明らかにした日本経済の現状についての指摘である。
アベノミクス下で大資本の利益は拡大し、株価が上昇したのは事実だが、その裏側で労働者の実質所得が大幅に減少し、地方経済の疲弊が進行している。
安倍内閣のグローバリズム推進政策によって、日本の農林水産業が存亡の機に立たされている。この事実の指摘が、とりわけ地方における党員票の造反をもたらしたのだと言える。
人々は真実を知ることによって行動を変化させる。グローバリズムの荒波を和らげて、市民の幸福を追求する政治と社会を実現するには、まずは、私たちが真実を正しく知ることが必要不可欠である。

※全文は9月21日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「日本の真実を知り世直しを断行しよう」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

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