2024年04月19日( 金 )

新たな局面を迎える中国の「一帯一路」戦略:日本の出番(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年9月28日付の記事を紹介する。


 今や、世界のパワーバランスが大きく変貌を遂げ始めている。その象徴がトランプ大統領だ。9月の国連総会での演説でも、「グローバル主義への決別」を宣言し、「自国優先主義」を打ち出した。長年、「世界の警察官」を豪語したアメリカが国際舞台から徐々に距離を置き「アメリカ・ファースト」に傾き、貿易相手国に関税戦争をけしかけ、地球温暖化も「フェークニュース」とバッサリと切り捨てる。

 北朝鮮との二回目の首脳会談には前向きな姿勢を明らかにしているが、「非核化」の中身を詰めるわけでもなく、具体的な進展は不透明なままだ。軍事予算のみが増え続けており、このところアメリカの軍需産業の株価はうなぎ登りである。安倍首相との首脳会談でも「貿易赤字の解消のため」と称して、1基2,000億円のイージスアショアをはじめ、高額のアメリカ製のレーダー、指向性ビーム兵器、無人潜水艦などの購入を迫る。まさに“商売人”トランプ氏の面目躍如といえるだろう。

 イランとの対決姿勢を強化する中で、日本を筆頭に同盟国に対してイラン原油の輸入中止を求めるなど、自国中心の政策を次々と繰り出すため、G7の間でも足並みが乱れる一方だ。フランスやドイツなども、余りに身勝手なトランプ大統領に公然と反旗を翻すようになった。西側ではただ1人、「トランプ大統領と100%行動を共にする」と公言する安倍首相ではあるが、貿易通商面では「日本の国益を無視されっぱなし」である。これでは「一方的な片思い」と揶揄されても仕方ないだろう。これで本当の同盟国といえるのだろうか。

 対照的に、中国による国際的な影響力の拡大が目覚ましい。その象徴的な動きが「一帯一路計画」だ。中国には「要想富、先修路」ということわざがある。「豊かになりたければ、先ず道路を整備せよ」という意味である。インフラ整備を通じて、自国内に限らず、世界に覇を唱えようとする「中国の夢」とも合致する。これまでのアメリカ主導の国際秩序を中国式に塗り替えようとする大胆な試みに他ならない。

 その背景には1970年代までの貧しい国を「改革開放」政策の下、わずか30年でアメリカと肩を並べるまでに経済発展を成し遂げたという自信が感じられる。アメリカでも日本でも中国の台頭を「新たな脅威」と受け止め、警戒する向きもあるが、朝鮮半島の安定化1つをとっても、中国の関与は無視できない。いうまでもなく、日本にとって中国は今や最大の通商貿易相手国に他ならない。ここは冷静に中国の動きと、その意図を分析し、ウィンウィンの関係を目指す時であろう。

※続きは9月28日のメルマガ版「新たな局面を迎える中国の『一帯一路』戦略:日本の出番(前編)」で。


著者:浜田和幸
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