2024年03月29日( 金 )

沖縄知事選自民意見広告が示す安倍政治の本質

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は10月2日付の記事を紹介する。


9月28日付の琉球新報に2つの全面意見広告が掲載された。24面に掲載されたのは、
「あなたの一票は、翁長知事の遺志を継ぐ「オール沖縄」の候補者へ」
と書かれたもので、9月22日の「うまんちゅ大集会」における翁長雄志前知事夫人の翁長樹子氏あいさつを掲載したものだった。

同紙の13面には、もう1つの全面意見広告が掲載された。自民党沖縄県支部(連)が出稿したものである。
上段に巨大な文字で、
「豊かになるチャンスを
 逃すのですか?
 私たちの判断が問われています。」
と書かれている。

玉城デニー氏は、辺野古米軍基地建設反対を明確に掲げ、これまでの県政路線を継承することを明言した。しかし、佐喜眞淳氏は辺野古米軍基地建設の  について、最後まで態度を表明しなかった。
最重要の争点について態度を表明しないのは卑怯である。政治家として行動するなら、賛成でも反対でも旗幟を鮮明にすべきであった。
「豊かになるチャンスを逃すのですか?」というコピーを考えたのは一体誰か。
「あなたがたは貧しいんだよ!せっかくその貧しさから救ってあげようとしているのに、拒むのですか?」
と言われているとしか読み取れない。
さらに、「私たちの判断が問われている」とあるが、日本語としておかしい。
「豊かになるチャンスを逃すのか?」との問いを投げているのだから、判断して答えを示すのは、「あなた」にしかならない。
本土の広告代理店がつくった全面広告なのだろう。沖縄の主権者を「貧しき者」と位置付け、上から「貧しさから抜け出すには自公の候補に入れるしかない」と「恫喝」している。これが、安倍内閣の沖縄への接し方なのだ。
「四の五の言わずに、基地を受け入れろ。基地を受け入れるなら財政資金を恵んでやるぞ」
「しかし、基地を受け入れないなら、財政資金を投入するのは見送るぞ」
というものなのだ。
沖縄の人々の立場に立って物事を考えるという姿勢が皆無なのだ。挙げ句の果てに、携帯電話料金を下げると言った。要するに、「札束で頬を叩けばひざまずく」としか考えていないのだろう。

玉城デニー氏は、沖縄の歴史を象徴する生い立ちを背負って国会議員になり、沖縄のために議員活動を続けてきた人物である。
その玉城氏は、辺野古に基地を造らせないために、あらゆる手法を駆使して力を尽くすことを述べるとともに、沖縄に住む、すべての県民を、1人も取り残さないことを訴えた。
政府とつながって、上から恵んでやるという横柄な姿勢で恫喝するのではなく、みなで手をつないで、住みやすい沖縄をつくることを訴えた。その結果が選挙結果になって表れた。
事前の予想では玉城氏が最終的に負けるとした論者が圧倒的に多かった。本ブログ、メルマガでは、昨年10月総選挙の比例代表選投票結果を踏まえて、玉城氏の基礎票が佐喜眞氏を上回ることを示し続けた。

※続きは10月2日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「沖縄の主権者が示した日本政治刷新の方法」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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