2024年03月28日( 木 )

梅原哲夫氏の死を悼む~「実録 頭取交替」

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 筆者が執筆した「実録 頭取交替」は4年前の今日、2014年10月15日に講談社より単行本として初版が発行された。また昨年8月17日には「実録 頭取交替 (講談社+α文庫) Kindle版」も出版されている。フィクションか?ノンフィクションか? 2004年5月21日に開催された維新銀行の取締役会議で起こった頭取交代劇を取り扱った経済小説である。
 本来代表権をもつ明智和男会長と谷野銀次郎頭取2人に新役員を人選する権限が与えられているにもかかわらず、多数決によって谷野頭取を罷免し、後任に古谷政治取締役を選任。谷野頭取を退任させようとする甲羅万蔵相談役が率いる守旧派と、改革派との権力闘争を描いた取締役会議が舞台。

 「実録 頭取交替」が世に出るきっかけとなったのは、2012年3月22日から2013年5月24日まで、1年2カ月にわたり「Net I・B News」に連載された「維新銀行」が原本である。「維新銀行」を小説にするために講談社に出版をもちかけたのは、データ・マックスの児玉直社長だった。
 地方銀行の頭取交代劇を仕組んだ守旧派と改革派との争いが、出版社の目にとまったことが大きかったと思われるが、本にするには条件があった。

 裏話になるが、講談社から『維新銀行は48万字におよび主人公が堀部正道では面白くない。主人公はクーデター主導した谷本相談役にすること。名前も谷本ではインパクトがない。相談役を連想させる名前にしてほしい。また1冊の本にするために字数は12万字程度に圧縮して臨場感あふれる内容に書き換えてほしい』の要望が寄せられた。そのため約半年以上かけて書き直し、その後文章の変更や校正を経て、「実録 頭取交替」は発行された。

 頭取交替劇に登場する取締役のモデルとなった15人のうち、守旧派では川中隆史常務、壇上一志専務、古谷政治頭取(いずれも当時)の3名が故人となっている。改革派では梅原哲夫審査担当役員(本名:青野徹郎氏)が今月11日午前、71歳の若さでこの世を去り、13日に告別式が厳かに執り行われた。改革派では、このほか谷野頭取を擁護した大沢明常勤監査役(本名:小川昭文氏)も故人となった。改革派として自分の信念を貫いた亡き青野徹郎氏に対し、心より哀悼の意を捧げたい。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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