2024年04月23日( 火 )

韓国元大統領顧問 劉鍾海夫妻来日歓迎 晩餐会!

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 韓国の文在寅大統領は9月18日から20日までの3日間の日程で11年ぶりに平壌を訪問、19日には平壌でマスゲームを参観するなどした後、韓国指導者として初めて北朝鮮国民に向けて演説を行い、翌20日には中朝境界にある朝鮮民族・建国神話の発祥の地とされる「白頭山」に登った。

 今月4日には2007年10月に南北首脳が発表した共同宣言から11年を記念する南北合同行事に出席するため、韓国の趙明均統一相ら官民の160人が平壌入りした。それに先がけて、6月12日には、シンガポールで、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働委員長との史上初の「米朝首脳会談」が開かれ共同声明が出された。しかし、この共同声明には「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)の記載がなく、非核化をいつまでに行うのかの記述もない」などと多くの有識者から批判が出ている。

 このような情勢下、10月4日(木)、韓国元大統領顧問の劉鍾海(ユ・ジョンへ)夫妻が来日、東京・六本木の国際文化会館で、同夫妻とゆかりのある各界を代表する有識者が集合し、歓迎晩餐会が開催された。

劉鍾海元大統領顧問と40年以上の親交

▲劉 鍾海 元大統領顧問

 最初に挨拶に立ったのは、劉鍾海元大統領顧問と40年以上の親交があり、晩餐会の主催者である、DEVNET (国連経済社会理事会認定のNGO)JAPAN代表理事・東久邇宮国際文化褒賞記念会代表理事の明川文保氏。明川氏は自身が衆議院議員の安倍晋太郎私設特別秘書だった時代を振り返り「安倍晋太郎先生が総裁選に出馬した際、『新 日本創造論』(清和会・政策委員会編集、安倍晋太郎監修)を韓国語に翻訳いただいたことがとてもありがたかったと記憶しております」と述べた。さらに、約30年前に北朝鮮を訪問したこと、劉鍾海元大統領顧問の長男の結婚を仲介したことなどの思い出も披露した。明川氏の挨拶の後、出席者の紹介があり、その後、劉鍾海元大統領顧問が挨拶をした。

非核化を明確にしたうえでの経済交流を

 劉鍾海(ユ・ジョンヘ)元大統領顧問は、北朝鮮の元山市の出身。1946年11月3日に脱北して韓国市民になった。ソウル大学法科を卒業後、ソウル大学大学院行政大学院を修了。フルブライトでアメリカのミシガン大学に留学、政治学博士号を取得した。ソウル大学法科を卒業して、法律家にならなかった理由を劉氏は「大学に入学したのが1952年6月12日、朝鮮戦争が勃発したのが6月25日で、大学生活の恩恵や感激をまったく感じられないまま、共産軍の南侵により正常な大学生活を送れず、非難を余儀なくされた」と語った。留学を終えて、韓国延世大学の教授になり、延世大学行政大学院院長、韓国行政学会会長を歴任した。

▲劉 鍾海夫妻(夫人は小児科医)

 参加者の多くが聞きたかったのが現在の韓国情勢に関する意見である。それついて劉氏は、「今回の来日は、あくまでも結婚62周年の記念旅行」であると前置きしたうえで、「北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)が明確に得られていない。非核化を明確にしてから、経済交流を進めても決して遅くないと思う」と自説を披露した。また、日本との関係については、「韓国は両国の間に存在する、小さな問題を障害にするのではなく、隣国であり歴史的にも関係の深い日本と一緒に経済成長などをしていくべき」と述べた。

 劉鍾海元大統領顧問は、10月25日に開催される、朴正煕元大統領(パク・チョンヒ 1917年11月14日- 1979年10月26日)の39回追悼記念式典で、国を代表して追悼文を読むことになっている。韓国は朴大統領の時代から、30年にわたって『漢江の奇跡』と呼ばれる高度経済成長が実現し、世界最貧国グループから抜け出したと言われている。

現在は毎日、日本語と中国語を勉強している

 劉鍾海元大統領顧問は今年で88歳を迎える。1996年に延世大学を退官してから中国語の勉強を始め、現在では毎日欠かさず、日本語、中国語を勉強しているというから驚きである。元大統領顧問の座右の銘は、中国語で「活到老学到老」(死ぬまで動き、死ぬまで学べ)である。最後に、元大統領顧問は晩餐会の主催者である明川文保氏にお礼の意味を込めて、88歳の今年出版した著書『行政学者への道』をプレゼントした。

 明川文保氏と劉鍾海元大統領顧問の挨拶の後、出席者を代表して、吉村靖弘・東久邇宮記念会会長・(一財)東久邇宮国際文化褒賞記念会名誉会長の音頭で乾杯が行われ、晩餐会に入った。劉鍾海元大統領顧問は、2009年3月18日に「東久邇宮国際文化褒賞」を受賞している。

<プロフィール>
劉鍾海(ユ・ジョンヘ)

 1931年元山市生まれ。ソウル大学法科卒業。ソウル大学行政大学院卒業。アメリカミシガン大学で政治学博士号を取得。延世大学行政学教授、同行政大学院院長。韓国行政学会会長。大統領政策諮問委員(大統領顧問)、韓米協会副会長。ソウル大学総同窓会副会長。金泳三大統領より大統領褒賞受賞(永年教育に関する功労賞)、金大中大統領より大統領褒賞受賞(民主平和統一協議会20年勤続褒賞)ほか多数の受賞歴がある。

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