家族信託で名を馳せた司法書士グループ 次は「新規信託会社設立とIPOへ」(後)
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司法書士法人みつ葉グループ
1件でも多く相続の悩みに応える
そんな島田氏が次にトライするのは、九州初の信託専門会社「みつ葉信託」の設立と、同グループの新規上場(IPO)だ。信託とは、委託者である財産所有者が、受託者(法人や個人)に財産を託し、受託者の管理を介して、受取人(受益者)に財産が承継される仕組みのこと。なかでも受託者が営利目的でないものを「民事信託」と呼び、さらに家族が受託者となるものが「家族信託」と呼ばれる。高齢者や核家族化の増加する現代、家族に財産を継承する「終活」の1つの選択肢として、需要が高まっている。同事務所では、相続に関わる悩みをもつ相談者の状況に合わせて、最も適した相続・信託方法をオーダーメード式で提案している。
島田氏は16年、世間に広く家族信託・民事信託を知ってもらうため、初の著書となる「家族信託の教科書」を上梓。わかりやすい説明で好評を得、出版記念セミナーには定員を上回る150名超が島田氏の講義を受けるために駆けつけた。17年9月には改定版として第2版も刊行されている。
しかし、既存の信託取り扱い業者の大半は大手金融機関の関連会社。一定の財産規模が求められるなど、一般家庭にとって使い勝手が良いとはいえない。それだけでなく、信頼できる受託者が見つからず信託を断念する人も少なからずいるだろう。このように信託制度を活用したくても活用できずに困っている人々の受け皿的存在を目指すのが、現在設立申請中の「みつ葉信託」だ。島田氏は「信託は高齢者の相続対策だけでなく、障がいをもつお子さんへの安定した財産相続・管理や、同性カップル間の遺産相続など、さまざまなケースに対応できる。一般家庭にも使いやすい信託会社を設けることで、世間に広く信託を普及させたい」と話す。
IPOを目指すのも、信託会社設立における布石の1つ。島田氏はIPOの意義について「お客さまの非常に大切な財産を預かるという立場上、絶対的に信用していただける存在でなければならない。IPOは、いわば信用の担保。上場企業であることで、相談者さまにとって、より安心して、信託の相談や財産を預けることができる環境をつくりたい」と語る。上場は4年後の2022年度を予定。そこを見据え、売上高10億円以上を目標とする。
急激に事業を拡大させていくうえで、課題も存在する。拠点ごとで提供するサービスに落差がないよう、「クオリティの均一化」にはとくに気を配る。増員し続けるスタッフの教育だけでなく、著しく進むIT技術を活用することで、一層速く確実なサービスの提供を図る。人・サービス・IT技術をかけ合わせ、より良い法務サービスの全国拡充を目指す。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:島田 雄左
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