2024年04月25日( 木 )

くるり九州ひたすら歩く旅~九州一周、完歩を目指す(14)

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 国道3号線と10号線をひたすら歩く“九州一周完歩”の旅。走行距離は実に833kmにおよぶ。週末を利用し、実際に現地に赴き、九州の大動脈を歩く。真夏の太陽が照り付ける日中を避け、深夜から明け方にかけて歩くという、まさに体力勝負の旅。
 今回は、諸事情のため棚上げしていた鹿児島県と宮崎県の県境である国道10号線を歩く。目の前に立ちはだかるのは、この旅の3大峠となる「亀割峠」。福岡からの移動距離の長さ、気象条件、悪路と最も過酷な旅の1つとなった。

8月25日(14日目)
JR加治木駅からJR都城まで~48.8km

午前4時、2度目の曽於市入り

 前回までは仕事の都合上、鹿児島入りができなったため、3号線の制覇と北周りの10号線を歩いた。今回の旅は鹿児島県から宮崎県を目指し、県境を越える旅である。
 土曜日に日付が変わった深夜0時、JR加治木駅に到着。仕事を早く切り上げて高速道路を利用しても、着くのはこの時間帯となる。キンキンに冷房が効いた車内から外に出ると、夏の湿気が体にまとわりつくのを感じる。今日も暑さと湿気との戦いとなるが、とにかく宮崎県に向かって進むしかない。

 出発した姶良市加治木と霧島市隼人にある小さな峠を越えたら、道はややフラットとなり、その後、同市の国分地区に入った。ここで国道10号線は国道220号線と分岐し、山手に走るバイパスに入る。背中に街の明かりを受けながら、次第に暗くなる山手に向かって歩く。

 国分鎮守尾交差点あたりから傾斜がきつくなってきた。道路には登坂車線が目立ち、トラックなどの大型車がスローペースで走っている。こちらも同様にスローペースにならざるを得ない。角度がきつい場所では勾配8%と表記されている。その後、勾配の違いはあるものの、長い上り坂が続き、その中を数時間歩いた。しかも、にわか雨まで降ってきたので、足元は滑り、歩道がない区間も多い。また、歩道があったとしても、夏の植物が占拠して歩くこともままならない。
 下り坂ではトラックなどが、かなりの速度で走り、ナイトウォークのために電装した歩行者の姿が見えていないようだ。危険なことこの上ない。さすが亀割峠だ。

 曽於市の標識を見て、ようやく霧島市を後にしたと思ったら、また霧島市に入り、「逆戻りか」とかなり落ち込む。1.5kmほど歩くと再度、曽於市に入る。明け方には計画通り、道の駅「すえよし」に到着した。
 誰もいないだろうと思っていたら、朝早くから大人たちが集まっている。朝市でもあるのかと思ったら、地元の野球チームの集合場所となっていた。試合でもあるのだろう。「お互い頑張りましょう」と心の中で声をかけ、再スタートした。
 道の駅からJR都城駅までは約12km。だが8月の強烈な日差しが行く手を阻む。体力は消耗しており、暑さのため汗が止まらない。

 都城市役所を過ぎた。「JR都城駅はもうすぐそこだ。早く健康センターのお風呂につかりたい!」

(つづく)

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