2024年04月26日( 金 )

家具を通じて、すべての人に喜びを 理想を追い求め、さらなる挑戦を続ける(前)

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(株)リッツウェル

愛着を記憶する家具

 (株)リッツウェルは、福岡市博多区板付に本社を構える家具・インテリア用品の製造販売業者。同社は1992年5月に、創業者であり現・代表取締役会長の宮本敏明氏が設立したのが始まり。99年1月に、ショールームを併設した現本社を開設した。その後、2003年12月には東京に、11年6月には大阪に、それぞれオフィスとショールームを開設。現在は福岡本社のほか、東京と大阪との3拠点により、国内での販売体制を盤石なものとしている。

 同社は、同じ業界で経験を積んだ現会長の敏明氏が、「もっと自分自身のオリジナル家具を世に送り出し、それに共感してくれる人に使ってほしい」との思いで独立。以来、イスを中心としたオリジナル家具の企画・開発から販売までを一貫して手がけ、独自のコンセプトに基づいた「Ritzwell」ブランドの家具を世に送り出してきた。

 Ritzwellのデザインのベースとなっているのは、バランスのとれた簡潔なフォルムと素材を生かした有機的なモダニズム。「実用性」と「審美性」の2つの視点から幾度ものブラッシュアップを繰り返し、過剰さを削ぎ落として家具として造形していくプロセスが、時を重ねて美しさを増す「Ritzwell」の家具の魅力を生み出している。素材を使い込むほどに、背のかたちや皮革のしなやかさ、皺までもが親しみのある「愛おしいもの」として記憶され、時とともに新たな表情を生み出し続ける―。プロダクトデザインコンセプトは、「愛着を記憶する家具」だ。

世界最高峰の家具の祭典、ミラノサローネへの挑戦

 古くから畳文化の日本では、近代以前には家具といえばタンスや棚などを始めとした「収納家具」が主流。日常生活でイスや机、ベッドなどの「空間創造家具」を使うようになったのは明治以降の話で、欧米諸国に比べるとまだまだ歴史が浅く、いわば空間創造家具において日本は後進国になる。そのため、日本の家具が海外で評価を受けるというのは、極めてハードルが高く、また栄誉あることなのだ。

 毎年4月にイタリアのミラノで開催される、世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」(以下、ミラノサローネ)。1961年にイタリア家具やインテリア小物の輸出を促進するために誕生したミラノサローネは、世界のトレンドを牽引する一大イベントとして世界の業界関係者から高い注目と評価を受け、年を経るごとに規模を拡大。欧米を始め世界各国の建築家やデザイナー、バイヤーなど30万人以上が訪れる、イタリア屈指のビッグイベントへと成長した。そんなミラノサローネだが、そもそもの開催趣旨はイタリアブランドの家具などをアピールし、イタリアの経済活性化に寄与すること。そのため、イタリア国外の業者への門戸は狭く、出展者のうち国外業者はわずか3分の1程度。日本から単独ブースで出展できるのは、カリモク家具(株)(愛知県東浦町)や(株)マルニ木工(広島市)、(株)飛騨産業(岐阜県高山市)など、わずか4~5社だという。

 同社では、そんな狭き門をくぐり抜け、08年に初出展をはたして以降はほぼ毎年のように出展を重ね、13年以降はついに単独出展へと漕ぎ着け、18年で6回目の単独出展となる。世界の一流メーカーがひしめき合う展示パビリオンエリアでの出展を重ねてきたことで、同社のブランドは少しずつ、しかし着実に世界に知れわたるようになっていった。

 同社の宮本晋作社長は、「ミラノサローネへの出展というよりも、世界の舞台へ挑戦していくことに意義があります。また、挑戦することで成長につながっていく過程そのものが、とても楽しいのです。何度も挑戦してきたことで、少しずつですが、『どうやったら世界の舞台で戦っていけるか』がみえてきた部分もあります。ただし、目的は海外ではなく、あくまでも我々が理想とする家具づくりを追求していくこと。世界やトレンドに媚びることなく、大事なのはRitzwellらしさをもち続けることです」と、ミラノサローネを通じた世界への挑戦についての思いを語る。世界最高峰の家具見本市への出展経験は、同社を一回りも二回りも大きく成長させたようだ。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮本 晋作
所在地:福岡市博多区板付5-2-9
設 立:1992年5月
資本金:2,000万円
TEL:092-584-2240
URL:https://ritzwell.com

<プロフィール>
宮本 晋作(みやもと・しんさく)

 1978年1月生まれ。九州産業大学建築学科を卒業後、家具の本場である飛騨とイタリアで修行を積み、2005年に(株)リッツウェルに入社。常務、専務を経て、2018年1月に代表取締役社長に就任した。

(後)

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