2024年04月20日( 土 )

議員は多いほうがいい?成り手に困らない地方議会~鹿児島県阿久根市

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人口大幅減でも減らない議員の数

 昨今、メディアで取り上げられる機会が増えている地方議員の成り手不足問題。高齢化と過疎化が進む自治体で、議員活動に時間をとられて仕事に影響が出る割に報酬が安いことなどから成り手が不足、無投票が常態化するなど議会制民主主義の機能不全が危惧されている。そのようななか、鹿児島県阿久根市では、市民の間から議員定数削減を求める声が挙がる一方、市議からは「議員は多いほうがいい」「議員が減れば、市民の声が届きにくくなる」といった反論がなされているという。

 「区長会からの要望を受けて、議員定数を22名から16名に削減したのが13年前。その時の市人口は約2万5,600人だったが現在は約2万人。さらに市議会は、固定資産税や保険税などの増税に賛成し、議員報酬を上げる議案にも賛成した。4年前にも定数削減の議論はあったが、削減していない」。業を煮やした市民有志が「市政を考える会」を発足し、議員定数問題に関する啓発運動を展開中。

 定数削減に賛成する市議は、「来年4月の地方選まで時間がないことを理由にして、議論を先送りにしようという考えが議会内にある」と呆れ顔。「議会費は年間1億3,500万円。議員1人あたり844万円。さらには、過去の政務活動費不正問題で廃止となった政務活動費を復活させようとの動きもある」「減り続ける人口に回復の見込みがないなか、議員は12名でも十分ではないか」と、「市政を考える会」は現在の議会のあり方に疑問を呈す。

 阿久根市の条例によると市議の報酬は月額26万3,000円。期末手当として6月に約41万円、12月に約45万円が支給される。年収にすると約400万円。このほか、公務の旅行などには費用弁償が支給され、議員報酬は、議長約37万円、副議長約29万円など役付きが高くなる仕組み。なお、17年時点の阿久根市の平均年収(課税対象者のみ)は約234万円。人口減少とともに税収が減るなか行財政改革は不可欠だ。

【山下 康太】

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