2024年03月19日( 火 )

崖っぷちに立たされている韓国の自動車産業(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国の輸出を支える大きな柱の1つである自動車産業に危機が訪れている。現代自動車の決算発表によると、18年第3四半期の営業利益は2,889億ウォンで、前年同期比で68%も急減したことが明らかになった。

 現代自動車は過去飛躍的な成長を遂げ、ピーク時には生産台数が878万台となり、生産規模で世界5位にランクされていた。ところが、2017年に入り、現代自動車は18年ぶりに売上高減少に転じている。売上高が減少に転じたことより、もっと深刻なことは、同社の営業利益率がずっと減少傾向にあることだ。同社は2013年第2四半期には10.5%の営業利益率を達成していたものの、その後、営業利益率が徐々に減少して2018年第3四半期には何と1.2%まで下がっている。すなわち、同社が自動車を生産して売っても、ほとんど利益が出ない構造になってしまっている。

 現代自動車の業績悪化だけでなく、部品会社などのベンダー企業の倒産、廃業が相次いでいて、韓国自動車産業の崩壊を懸念する声まで聞こえるようになっている。自動車産業は韓国の雇用全体の13%を占めているし、韓国の全輸出の12%を占めている重要な産業である。自動車産業の直接雇用の人数は39万人で、造船産業(12万8,000人)の3培にもなるとされる。1世帯を4名だと仮定すると、自動車産業は160万人の生計を支えていることになる。ところが、自動車産業の雇用者数は今年の年初から毎月1,000名または2,000名ずつ減少し始め、今年8月には39万1,000名まで減ってきている。雇用の動向だけでなく、自動車会社の実績を見ても、自動車産業が危機に立たされていることが如実に表れている。

 今年9月の5大完成車メーカーの実績発表によると、内需は前年同期比17.5%の減少で、輸出は6.5%の減少を記録している。国内自動車生産台数は12年に456万1766台だったが、18年には200万4744台まで落ち込んでいる。韓国には完成車メーカーが5社、その1次ベンダーが800社、2次ベンダーが5,000社、3次ベンダーが3,000社ある。市場ではどのようなことが起こっているのだろうか。

 自動車産業は100年に一度の変革期を迎えようとしている。内燃機関から電気自動車などへのシフト、自動走行、電装化などである。新しい時代に生き残れる自動車会社がどこになるかはまだ分からない。自動車会社にとっては、異業種とも競合をしないといけない厳しい時代に突入している。そのような状況下で、自動車メーカー各社は将来に向けて生き残りをかけてしのぎを削っている。ところが、韓国の自動車会社が直面している現実は実に厳しい。韓国を代表する自動車会社である現代自動車の実績を見ると、韓国の自動車産業全体が見てとれる。現代自動車の主な輸出市場は、米国、中国、インド、ロシアなどの新興国である。

(つづく)

(後)

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