2024年04月23日( 火 )

生涯介護のいらない人生で最期まで親の尊厳を保つ~健康を保つには「程良いこと」が肝心

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日中特殊鍼法研究会会長 長尾治療院院長 長尾 良一

世の中すべて表裏一体

長尾治療院 長尾 良一 院長

 世の中すべて表裏一体、良いことばかりでもなく悪いことばかりでもありません。それゆえ程良い生き方を選択することが大切です。今や社会は“楽に、便利に”と進み続けています。このような状態が進展を続けると、心身ともに軟弱で依存心が強い人たちが増えるでしょう。程が良いことが肝心なのだと思います。
 健康も同じ。程良いことが一番大切なのです。今こそ、不便を楽しむように身体を動かし鍛え、また、予測不可能な不慮の事態にも対応できるように頭(脳)と身体を鍛え、使い続けることが重要です。使わないと使えなくなります。“できるのにやらない”ことと、“やりたくてもできない”ことは違います。

健康のための「程良いこと」

(1)食べ物
 最近では、柔らかくて噛まなくても良いような食品づくりや、調理法により食べやすくなっている料理やスイーツも増えています。その反面、顎の骨や筋肉の弱い若者も増えており、その結果として顎の疾患が増え続けています。顎の問題は顎だけにとどまらず、肩こり・頭痛の原因になります。さらには耳鳴り・視力減退につながることもあり、時が経過すると脳梗塞、認知症にまで進むこともあります。

(2)薬
 薬といえば、「身体に良く健康にしてくれるもの」と誰もが思っているのではないでしょうか。薬は人工的につくられた機能性の高い化学合成物質です。身体のなかで化学反応を起こすことを薬効と言っています。漢方薬に使われる生薬(草根木皮)とは違い、薬という名の異物を体内に入れることで、肝臓(化学工場)は解毒作業で無理をしてオーバーヒートします(肝火上炎)。肝の気が頭に上り、イライラのぼせ・目の疲れ・視力減退・耳鳴り・寝付きが悪く眠りが浅い・ふらつくなどの症状が出ることがあり、さらにそれらの症状に対しさまざまな薬が処方されます。このような現象はいかがなものか?もちろん飲まなければならない場合もありますから、薬を飲む場合はよく医師と相談してください。
 食事や運動によりホメオスタシス(恒常性)が働き、健康になり睡眠の質も上がり精神も安定します。“薬漬け”の日本ですが、飲まないで済む場合も多くあると思っています。

(3)運動
 人間は動物ですから、動かないと真の健康は得られません。
 体力・健康状態に応じた運動でなければ、逆に身体を悪くすることも考えられます。使い過ぎは痛め、使わないと退化し弱体化してしまいます。己の能力を知り、焦らずに身体と相談しながら体を動かすことを頑張りましょう。
 運動をした後、「疲れる」とぼやき、「私には運動は向かない」という人がいます。使わないから能力が落ちているのであって、そのような人ほど運動を行うべきでしょう。運動しない人を待っているのは、“介護”と“惨めな老後”だと思います。

(4)衛生
 私は最近の殺菌・消毒・滅菌の行き過ぎに警鐘を鳴らしたいと思っています。今や日本は衛生状態も良くなり、世界でもトップクラスの清潔な国となりました。しかし、国民を脅かすように、培養した菌の映像などを見せ、不安をあおるようなテレビCMが多く、これに影響され過度の殺菌をすることで免疫力が落ち、逆に危険に晒されるようになる恐れがあります。
 海外で、同じ物を食べた時に日本人が一番お腹を壊すとも言われており、そのうち“絶滅危惧種”に認定されるようになるかもしれません!

(5)介護
 徹底した介護は依存を生み、ひいては生きる意欲すら奪ってしまうことにつながりかねません。本当に必要なことのみ介助し、常にどんな環境にも対応できる体力や能力を育て、そして維持できるように支援する。自力で行きたい所に行き、食べたい物を食べ、やりたいことができ、再び生きがいをもつことができるように!

■長尾治療院
代 表:長尾 良一
所在地:佐賀県唐津市西城内6-7
設 立:1980年
URL:http://nagao-chiryouin.jp/
E-mail:nagao@ia8.itkeeper.ne.jp

<プロフィール>
長尾 良一(ながお りょういち)

1949年福岡県生まれ。手技療法の大家であった父・松造氏の後を継ぎ、長尾流の手技と独自の鍼灸治療で現在に至る。日中特種鍼法研究会会長。

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