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2018年12月05日 07:01

若手社員に権限をもたせ自覚を促す 人材育成が未来のカギを握る(後) 時代を紡ぐ企業110社 

(株)九設

若手を大胆に抜擢、責任をもたせることで社員は育つ

(株)九設 田島 貴博 社長

 そのために必要なのは、社員教育。たとえば社外のコンサルタントによる教育プログラムを導入する、という考え方もあるだろうが、田島社長がまず考えているのは自社内でどうクオリティを上げていくかだ。

 「弊社の特徴は、20代や30代の若い社員が多いことです。これを生かし、若くても能力のある社員はどんどん抜擢し、責任のある役職に就けるようにしています。抜擢された社員は部下を育てながら、自分もまた成長していく。できる若手社員は、在籍2~3年でも10年目のベテランよりも光る面を見せます。抜擢された若手は大変なこともあるでしょうが、やりがいにもつながると思いますよ」。

 年齢が若い、もしくは社歴が浅くとも、力さえあれば上に登れる。若手からすれば願ったりかなったりというところだろうが、田島社長としては悩みもあるという。

 「歴史が長い会社なら、定年で退職していく社員と新たに採用する社員の数でバランスをとっていけばいいのですが、弊社はまだまだ減員よりも採用による増員のほうが多い、若い会社です。つまりは販管費はこれから増えていく構造にあるわけです。利益率を高くし、収益構造もより改善していかなければ良けない」。

 まさに、伸びている会社ならではの難しさだが、反面、責任のある立場を任される若手社員には一層期待がかかるところだ。

 2020年の東京オリンピックに向けた建設業界全体の好況ムードに加え、沖縄でもさまざまな案件が動いている。能力のある若手が、力を発揮できる場面は数多くありそうだ。

 「大手サブコンが、今後どのような動きをしていくのか。現在、大手サブコンは関東や沖縄に注力していますが、オリンピックバブルが終わった後、それだけの売上を地方で上げようとしてくるなら、弊社や地場サブコンにとっては厳しい戦いになる」と田島社長は気を引き締める。そのためにも、積極的な若手登用で会社の地力を蓄えていきたいところだ。

施工の質、教育の質を向上

 ITを中心とした技術が日進月歩で進化していく今日、同社はどのようなかたちで時代に適応していくのだろうか。建設業界はまだまだアナログな感覚が強い、と苦笑する田島社長だが、九設ではタブレットを使って遠隔地から現場の状態を確認するなど、徐々にIT技術を応用した仕組みの導入を検討している。

 「従来は、たとえば福岡にいる上司が熊本の現場の状態を確認したいと考えると、半日~1日仕事になりますし、経費もかかります。タブレットを使えば、その場を動かず、リアルタイムで確認してすぐに指示を出せます。360度全方向を確認できるのもいいことです。若手社員の教育にもなりますし、毎日でも確認できる。このようなシステムを導入することにより施工の質も上がります」。

 社員同士や、上司・役員とのコミュニケーションにはLINEを活用している。プライベートで使っている社員も多いため、ツールの習熟に手間暇をかける必要がないのも利点だ。「私自身、社内でつくっているLINEグループにはすべて入っています。いちいち口を出すと社員がやりにくいでしょうから、なるべく発言はしませんが」と笑う田島社長。案件ごと、現場ごとの進捗の様子も文字や写真で一目で確認できるのは強みだ。「以前はすべて電話。となると、現場に出ている社員はつかまりにくかったり、知りたい情報をもっている社員が誰なのかを把握するのも一仕事でした」。

 業界の新しい潮流として田島社長が注目しているのが、IR(統合型リゾート)の登場だ。「カジノ法案」の名で注目を集めたIR推進法案(正式には特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)が16年12月に可決・施行され、現在全国の自治体で施設誘致に向けた検討が進んでいる。実質的なカジノ解禁につながるため問題視する声もあるが、外国人観光客の誘致が進むとして歓迎する意見も多い。

 「IR施設が置かれる場所が決まれば、大きな需要が生まれる。営業所を置くなど、対応していきたい」。

 将来的には海外展開も視野に入れている。設計など、国内では人的コストがかかる部門を海外にアウトソーシングできないか模索している。「国内で技術を学んでもらい、現地に会社を設立して仕事を発注するかたちを考えています」とのこと。国内外を問わず、人材育成に尽力しながら、九設は歩みを続けていく。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:田島 貴博
所在地:福岡市博多区上牟田1-11-25(福岡支店)
設 立:1996年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-409-3770
URL:http://www.kyuusetsu.co.jp

<プロフィール>
田島 貴博(たしま・たかひろ)

 1970年7月生まれ、大分市出身。大分商業高等学校情報処理科卒。96年、(有)タシマ(現・(株)九設)を創業。2005年に代表取締役専務となり、トップ営業で事業の拡大を図る。15年4月、同社代表取締役社長に就任。

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